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食品スーパー業界、空前の活況…ライフ、アマゾンと提携し生鮮食品を「当日」配送

文=編集部
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ライフの店舗(「Wikipedia」より)

 全国の主要食品スーパー10社の8月の既存店売上高は2カ月連続で前年実績を上回った。

ライフコーポレーション:12.9%増

・ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH):8.5%増(傘下のマルエツは8.2%増、カスミは8.6%増)

・マックスバリュ西日本:6.0%増

・アークス:5.5%増

・ヨークベニマル:5.8%増

・ヤオコー:14.0%増

・バロー:10.5%増

・サミット:16.0%増

 食品スーパーは巣ごもり需要が追い風となり、新型コロナウイルスが拡大した上半期(3~8月期)は好決算に沸いた。

ライフは食品の需要拡大で今期の純利益を2倍に上方修正

 食品スーパー最大手、ライフコーポレーションの2020年3~8月期決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比9.4%増の3867億円。営業利益は169億円、純利益は117億円と、いずれも3倍となった。外出自粛の流れもあり、在宅での調理が定着。利益率が高い高価格帯の肉や野菜などの販売が伸びた。料理の種類を増やす目的で調味料も幅広く売れた。キッチン回りの日用品などの販売も好調だった。

 ライフは食品の宅配に力を入れてきた。19年9月、アマゾンジャパンと提携し、アマゾンの有料会員向け宅配サービス「プライムナウ」で注文を受け付けるサービスを開始した。生鮮食品や総菜、ライフのプライベートブランド(PB)など数千点を、当日または翌日の2時間単位の時間指定で宅配する。新宿など都内7区で始めたが、宅配需要に対応するため、今夏までに東京23区と4市、さらに大阪市でもサービスを拡大した。コロナ禍で伸びた宅配需要を獲得したことが業績を押し上げた。

 2021年2月期の連結決算の予想を上方修正した。営業収益は前期比6.8%増の7630億円と290億円上振れする。営業利益は72.9%増の240億円と79億円上乗せ。純利益も2倍の160億円と、60億円の上方修正となる。

 新型コロナウイルス感染対策としてセミセルフレジの導入の前倒しや人件費増などで費用は増加するものの、増収効果がこれを大きく上回る。中間と期末配当をそれぞれ5円ずつ増配し、年間配当を50円とする。通期の業績予想は上半期(3~8月期)の好調ぶりを反映したもの。下半期(9月~21年2月期)は前年並みと、慎重な見方をしている。

USMHは在宅調理が追い風に

 マルエツとカスミ、マックスバリュ関東を展開する首都圏最大の食品スーパー、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールデイングス(USMH)の20年3~8月期の連結決算は、営業収益は前年同期比8.6%増の3738億円、営業利益は4.1倍の113億円、純利益は16倍の69億円と、巣ごもり消費を受け好調だった。21年2月期の業績予想は、営業収益が前期比5.3%増の7280億円、営業利益が71.0%増の160億円、純利益は4.3倍の70億円の見込み。それぞれ260億円、60億円、49億円上方修正した。

 在宅調理で伸びた上半期(3~8月期)の上振れ分を反映したもので、下半期(9月~21年2月期)については慎重な見立てとなっている。今後は「家計の収入が減って価格競争が激しくなる」とみる。下半期は店舗の減損などを想定して、純利益は5800万円にとどまる見通しだ。

 下半期の純利益が伸び悩むとの発表を受け、10月6日の株価の終値は前日比7%(90円)安の1194円。10月13日の終値は1132円。8月20日に1350円の年初来高値をつけた後だけに、保守的な業績予想を嫌気して売り物が出た。

 都市型食品スーパーの2強、ライフとUSMH。21年2月期の売上高営業利益率(見込み)はライフが3.1%、USMHは2.2%。収益力はライフがUSMHを上回る。株式時価総額(10月13日終値時点)はライフが2138億円なのに対してUSMHは1490億円と差がつく。

 マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社が経営統合してUSMHが発足したのは2015年3月。傘下の3社による共同仕入れや販促策を実施。2月には同じイオン傘下のドラッグストア、ウエルシアホールディングスと医薬品と家庭用消耗品などの共同調達で合意するなど、店舗の稼ぐ力の強化に取り組んでいる。

 ライフは三菱商事が19.76%の株式を保有する筆頭株主(20年2月末時点)。USMHの筆頭株主(51.00%を保有)はイオンマーケットインベストメント。イオンマーケットインベストメントはイオンと丸紅が出資している。ライフとUSMHは三菱商事、丸紅の代理戦争の側面がある。

Olympic、アオキスーパーの株価は年初来高値

 10月に株価が年初来高値を更新した食品スーパーがある。独立系のOlympic(オリンピック)グループの株価は10月7日、一時、前日比269円(25.9%)高の1308円と年初来高値を更新した。年初来安値394円(3月13日)の3.3倍だ。「未定」としていた2021年2月期の連結決算の業績を公表した。営業収益は前期比8.5%増の1090億円、営業利益は6.8倍の46億円、純利益は8.9倍の30億円とした。大幅な増益を好感した買いが集まった。

 愛知県西部が地盤のアオキスーパー(JQ上場)は10月6日、年初来高値の3130円を付けた。年初来安値の2055円(3月10日)より52%上昇した。2021年2月期の単独決算は営業収益が前期比3.0%増の1065億円、営業利益は77.3%増の26億円、純利益は2.5倍の17億円の見込み。増収増益を確認したことから買われた。

 食品スーパー各社の巣ごもり需要の追い風は早晩、やむ。アオキスーパーでも下半期の業績予想は厳しい見方をしている。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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