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ディズニーランド、ダンサーの半数が退職か…ANA、社員をノジマや成城石井へ出向

文=編集部
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ANAのボーイング787(「Wikipedia」より/ Helmy oved)

 人が移動することで稼いできた航空業界、旅行業界、観光・レジャー業界は、新型コロナウイルス感染症で深刻な打撃を受け、冬のボーナスがゼロ、もしくは減額する企業が続出した。

ANAは冬のボーナスを支給しない

 特にダメージを負ったのが国際線を中心に大幅な減便が続く航空業界だ。ANAホールディングス(HD)は10月27日、2021年3月期の連結最終損益が5100億円の赤字(前期は276億円の黒字)になる見通しだと発表した。赤字幅は過去最大だ。

 羽田、成田、関西、中部の4空港の国際線は羽田に集約する。6月末に300機あった保有機のうち国際線の大型機を中心に今年度、35機を削減する。大型機は半減となる。拡大路線を続けてきたANAHDは正念場を迎えている。

 ANAHD傘下の全日本空輸は冬のボーナスを支給しない方針を労働組合に提案した。夏のボーナスは半減(月額給与の1か月分)としたが経営の先行きが見通せないことから、冬の支給は難しいと判断した。冬のボーナスを見送るのは記録が残る1962年以降で初めてという。

 約1万5000人の従業員の多くを占める一般社員の月額給与も20年ぶりに減らす。一般社員の平均年収は前年に比べて3割超、減る。一般社員の給与の引き下げは2000年度以来となる。役員報酬と管理職の減額は4月から実施していたが、対象を一般社員にまで広げた。

 退職金を割り増しにする希望退職の募集を10月14日から始めた。客室乗務員は30歳以上、地上職は40歳以上が対象。募集期間は12月18日までとし人数は定めない。家電量販店大手のノジマや高級スーパー成城石井などグループ外の企業に来春までに400人以上を出向させる。

 スカイマークも冬のボーナスの支給を見送る。賞与は通常、本業のもうけを示す営業利益の30%を夏冬の2回に分けて支給。だが、20年4~9月期は約100億円の営業赤字になる見込みのため、夏に続き冬も支給しない。

 本社や羽田空港で働く正社員を対象に支給していた通勤定期代を廃止し、実費精算に切り替える。4月から実施している役員報酬の10%カットも続け、21年3月期(通期)に約90億円のコスト削減を目指す。スカイマークは15年に経営破綻し、20年の再上場を目指し東京証券取引所に上場申請していたが、コロナ禍で申請を取り下げた。再上場のメドは立っていない。

オリエンタルランドの冬のボーナスは当初計画比7割減

 観光・レジャー業界も厳しい。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドはテーマパークの休園が続き、20年4~6月期決算は248億円の最終赤字だった。

 営業再開に備えて、雇用を確保する必要がある。そこで3月から9月末まで、約2万人のアルバイトや出演者の休業補償を8割程度に引き上げて対応してきた。しかし、営業再開後、入園者数を絞ったため業績の好転は望めない。

 およそ4000人いる正社員と嘱託社員の冬のボーナスは当初計画比で7割減とすることを決めた。全額カットを労働組合に提示したが最終的に7割減で妥結した。テーマパークの運営にかかわる2000人の限定正社員のボーナスも5割減らす。

 500~600人いるとみられるダンサーら出演者は厳しい選択を迫られた。当面パレードの本格的再開が見込めないとして、園内の窓口業務へ異動するか、手当を受け取った上で退職するか、手当なしで契約期間を満了するまで働くかを選ぶ。TDRで踊ることがダンサーたちの夢でパレードはディズニーの華だったが、半数以上が退職を選んだとみられる。

 代表取締役は30%、取締役は20%、執行役員は10%削減している役員報酬についても減額幅を拡大する。7月の再開後も入園者数を絞っており、来年3月まで大規模なイベントもほとんど中止する予定。今後も減収は避けられない。

 旅行大手のJTBは社員1万3000人に対し、冬のボーナスを支給しないことで労使間で合意した。冬のボーナス支給が見送られるのは1989年以降初めてとなる。通常、12月に支給するボーナスは基準内賃金の月数に基づいて支払われ、例年、6月頃に支給額を決定してきた。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大により国内旅行の夏休み期間中の予約は昨年同期の5分の1程度に激減した。海外旅行は8月の出発分まですべての国と地域で取り扱いが中止になるなど経営環境が悪化した。夏のボーナスは昨年度の業績に基づいて決めていたため支給した。

JR西日本、三菱自は今春合意した冬のボーナスを減額

 JR西日本は冬のボーナスにあたる一時金を春の労使交渉で2.69カ月分で合意していたが、これを1.5カ月分に引き下げると各労働組合に提案した。組合員平均で35万~40万円の減額となる。JR西は21年3月期の連結最終損益が2400億円の赤字となる見通し。1987年の民営化以降で最大の赤字額となる。約700億円のコスト削減を打ち出している。

 三菱自動車も冬のボーナスを今春の合意時点から約2割引き下げることで労働組合と合意した。今春に妥結していた2.65月分から2.05カ月分に引き下げる。一般社員約1万3000人が対象。リコール隠しが表面化し経営危機に発展、ボーナスの支給を取りやめた04年以来初めて年末一時金の支給額を減らした。

 11月には本社など国内の社員を対象に500~600人規模の希望退職を募集する予定。非組合の管理職も基本給を1割減らした。主力の東南アジア市場が不振で21年3月期の連結最終損益は3600億円の赤字を見込む。

 冬のボーナスの支給に慎重な中小企業が増えている。浜銀総合研究所が実施した神奈川県内の中堅・中小企業を対象にしたアンケート調査によると、冬のボーナス支給を「未定」とする企業が20.5%を占め、19年調査から11.8ポイント増加した。ボーナスを「支給する」と回答した企業は12.9ポイント下がって73.2%。「支給しない」は1.4ポイント上がり3.7%だった。

「冬のボーナス崩壊」で住宅ローンが払えない“住宅ローン難民”が多数出ることになる。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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