プリンスホテルを中核とするホテル・レジャー事業は、とりわけ厳しいということだ。21年3月期の営業収益は前期比61%減の877億円、営業損益は552億円の赤字(同85億円の黒字)の見通し。新型コロナによる減収分は1660億円としている。全社の新型コロナの影響は2510億円の減収と弾いているが、その3分の2をホテル・レジャー事業が占める。

 西武HDは来期以降も需要が完全に回復することはないと見ている。9月24日の記者会見で高橋薫取締役は「聖域なく、踏み込んだ経営改革に取り組んでいく」と強調した。今期は固定費を当初計画に対して620億円、設備投資を同360億円それぞれ削減する。

若者に照準を合わせた宿泊特化型ホテル「プリンス スマート イン」を開業

「20代、30代のデジタル世代をターゲットに、プリンスホテルの入り口となるブランドにしていく。向こう10年で100カ所を展開する」

 西武HDの後藤高志社長は新ブランド「プリンス スマート イン」の誕生を力強く宣言した。10月8日、東京・恵比寿に「プリンス スマート イン比寿」(客室82)を開業した。業界最大手のプリンスホテルにとって初の宿泊特化型ホテルだ。最上位の「ザ・プリンス」(ザ・プリンス パークタワー東京、ザ・プリンス箱根芦ノ湖など)やファミリー層が中心の「プリンスホテル」など4つのブランドでホテルを展開している。いずれも直営のレストランや宴会場などを持つフルサービス型のホテルだ。宿泊料金は高く顧客は50代以上が中心。先々の需要をつかむためには20~30代の顧客の獲得は欠かせない。

「プリンス スマート イン」は、1泊1万円台の料金。宿泊客は事前に専用アプリをダウンロードすれば店頭の端末で簡単にチェックインできる。アプリ上で部屋の鍵をダウンロードし、自分のスマートフォンをルームキーとして使うことができる。これは20~30代のデジタル世代の顧客を取り込むための工夫だ。

 21年1月に熱海、同年夏に京都、22年には沖縄にスマート インを開業する計画。地方都市や空港周辺など、プリンスホテルがこれまでに進出してきたエリアとは異なる場所に開業する。

 宿泊特化型のホテルは激戦になっている。専業大手のアパホテルや東横インが先行しているが、フルサービス型のホテルも続々参入。藤田観光はミレニアム世代向けの「ホテルタビノス」を、東急ホテルズも同世代向けの「横浜東急REIホテル」を2019年に開業。星野リゾートも「BEB」の多店舗展開を始め、29歳以下なら1泊4000~5000円で泊まれる(3人利用時)「エコひいきプラン」などで新規顧客の開拓を進めている。

 最後発の「プリンス スマート イン」はどうやって勝ち抜くのか。後藤社長の腕の見せどころである。

(文=編集部)

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