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高橋暁子「ITなんかに負けない」

ユーチューバー、早くも限界で行き詰り…人気者たちの「やらせ」蔓延、一瞬でファン離反

文=高橋暁子/ITジャーナリスト
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「Getty Images」より

 ユーチューバーへの注目度が高まるなか、ヒカルなど著名ユーチューバーなどによるやらせ問題が続いている。同じくユーチューバーである「てんちむ」はステマ問題で批判を浴びている。なぜ、やらせや嘘に手を染めるユーチューバーが多いのだろうか。

「やらせを見抜いて」でヒカルが大炎上

 著名ユーチューバーであるヒカルが、やらせを告白して炎上した。もともとヒカルは祭りくじを買い占めて当たりが入っていないことを告発して人気となるなど、闇を暴く系の動画を多く投稿してきている。8月末に「【カメラ止めろ動画出したら訴えるぞ】毎日嘘の閉店セールしてる店の闇暴いたら逆ギレしてきてブチギレ口論になった…」という動画を投稿していたが、ヒカルと口論する店主が芝居じみていたり、レジがないなど店内に商品が少なすぎる点からやらせ疑惑が起きた。

 結局、近隣に住む視聴者が閉店セールはしていないと写真付きでリークしたことで炎上。ヒカルは「【話します】やらせ疑惑とSNS削除について」という動画でやらせを堂々と告白。「これも一つのエンターテイメントかと思って」と悪びれない上、今後もやらせは行っていくので見抜いてほしいというスタンスだったため、さらに炎上が広がった。

 このように、当初やらせを堂々と認めていたヒカルだったが、視聴者のリアルを求める声を受けて、「【ヤラセとの決別】さよならラファエル、今までありがとう」という動画内で、今後は「リアリティーが求められる動画で、やらせはなしにする」と宣言。ラファエルのやらせはエンターテイメントだが、自分のやらせは笑えないと考えたという。

 なおラファエルは、テレビ朝日系の番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』で、「本物もあるけど、自分の動画の99%はやらせ」と公言している。演出としてやっているというが、ユーチューバー動画にはこのようなやらせは少なくないのが実態だ。

てんちむはステマがばれて大炎上

 子役としても活躍したタレントでユーチューバーの「てんちむ」も炎上した。てんちむはこれまで、自分の努力のみでバストサイズがアップしたとして、バストアップのためのナイトブラのプロデュースや宣伝を行っていた。ところが元親友のユーチューバーとの仲違いをきっかけに、豊胸手術を受けていたことや大麻吸引の過去をバラされてしまったのだ。

 ステマを明らかにされたことで、ナイトブラについて返品・返金を求める2万1000件以上の問い合わせがあり、カスタマーセンターの対応が追いつかない状態に。てんちむは自腹で返金の上、騒動を受けて引き受けていた深夜アニメの声優も降板。

 しばらく芸能活動を自粛していたが、1カ月後にユーチューバーとして復活を宣言。これまで暮らしていたタワーマンションからワンルームのアパートに引っ越したことや、食費が月30万円から1万円になったこと、ヒカルとコラボしてハイブランドの私物を鑑定士に鑑定してもらい売り払う動画などを投稿している。

ユーチューバーとして成功し続けることの難しさ

 ユーチューバーのやらせや嘘はこれだけではない。最近も、大食い系ユーチューバーである「KASUMI_ASMR」が9月末にチーズカツを食べる動画を投稿したが、編集ミスでチーズカツを吐き出すところが映り込んでいた。大食い系ユーチューバーなのに実際は食べていなかったこと、食物を無駄にしていたことなどから、炎上してしまったのだ。炎上後、動画は削除されコメント欄も封鎖され、チャンネル登録者数も非公開となった。こちらも、TwitterやInstagramなどのアカウントも削除する騒ぎとなっている。

 また、ぼったくりバー潜入などの闇を暴く系を投稿してきたユーチューバーである「とぅるんとぅるん」も、他のユーチューバーにやらせを暴かれた。自分が過去に公開してきた動画はすべてやらせだったと告白し、批判を浴びている。同時に、「自分と同じようなことをやっている人はすべてやらせ」として他のユーチューバーも名指しして指摘している。

 大食い系は「見ているだけで自分が食べた気になれる」と人気がある分野だが、実際には食べていない嘘がある動画が投稿されていた。闇を暴く突撃系も怪しいことを暴いてくれると人気の分野だが、これもやはり演出があり、ホンモノに混じって突撃していない嘘の動画が混じっていたというわけだ。

 ユーチューバーは、自分がしたいけれどできないことを代わりにやってくれる存在として支持されている例が少なくない。しかしそのような分野は新規参入者も多く、そのなかで支持を得続けることは難しい。実現が難しいからこそ人気なのだが、視聴者は貪欲で、あくまで体を張ったリアルを求め続ける。

 ユーチューバーとして成功すれば人気者になったり良い生活ができるが、そのためにはかなりの努力が求められる。そこで、安易にやらせに走ったり、過激化したりして差異化を図るユーチューバーが増えてくるというわけだ。迷惑系ユーチューバーや逆張り系ユーチューバーが登場してきたのも、同様の理由だろう。

 ユーチューバーの世界はすでにレッドオーシャンであり、普通の動画では見てもらえないし、すでにいるファンも離反してしまう。派手な演出などが求められるが、やらせがばれたら炎上して、視聴者に拒まれるだけだ。ユーチューバーの社会的地位は高まっているが、同時に多くのことが求められるようになっている。ユーチューバーの置かれている現実はかなり厳しい。

(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

書籍、雑誌、Webメディアなどの記 事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などが専門。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎) など著作多数。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。令和 三年度教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。


高橋暁子公式サイト

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