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木下隆之「クルマ激辛定食」

マツダ新型「MX-30」、型破りな“観音開きのSUV”で勝負!狭いが走りは驚異的に上質

文=木下隆之/レーシングドライバー
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マツダ「MX-30」

 マツダがリリースした新型「MX-30」は、個性豊かなつくり込みにより世間の話題を誘っている。全長4395mm、全幅1795mm、全高1550mmのボディは日本の街にそっと馴染む、コンパクトなボディである。そのボディで5ドアハッチバックを成立させるためには、“観音開き”が理想的なのかもしれない。

 前席のドアは余裕のサイズだが、後席の観音ドアは前席の半分ほどである。それほどのサイズでも乗り込みやすいのは観音開きだからに違いない。

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 かつてマツダは、ロータリーエンジンを搭載する4ドアスポーツクーペを開発し、世間を驚かせた実績がある。「RX-8」がそれだ。その技術がSUV(スポーツ用多目的車)になって蘇った。トリッキーな施策の数々で個性を主張するマツダらしいモデルだと思える。

 しかも、ハイブリッドである。搭載する内燃機関は直列4気筒2リッターNAで、最高出力156ps、最大トルク199Nmを発揮する。出力が控えめなのはマツダ製スカイアクティブユニットの特徴だが、今回はそのガソリンエンジンにモーターがアシストする。モーターの最高出力は6.9ps、最大トルクは49Nm。トヨタ自動車の「THS II」のようにモーターだけで巡航することもなく、これみよがしなEV(電気自動車)感覚もない。それと知らされなければ、ハイブリッドであることすら気がつかないに違いない。それほどにささやかなアシストなのである。

 走行中はエンジン主体だから、常に内燃機関のノイズやバイブレーションが伝わってきてしまっている。動力源は決して上質とはいえない。だが、走り味が意外なほど上質だったのには驚かされた。

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 エクステリアデザインは個性的である。マツダのデザイナーは「マイナスの美学」を掲げ、立体的なねじれや盛り上がりや窪みを省略し、シンプルな造形美を狙っている。その点、MX-30は個性的なエッジや突起が確認できる。常識的なSUVらしく、フェンダーモールからサイドスカートにかけて樹脂製のプロテクターも加わる。Cピラーには、マツダのロゴが刻まれたプレートが貼られている。いつもとは様子が異なる、アグレッシブなデザインなのである。

 そのため、てっきりクロスカントリー色を際立たせた走り味かと予想していたものの、良い意味で裏切られた。乗り心地は優しい。都会的SUVらしい味付けなのである。

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 ちなみに、リアシートは決して広くはない。特に、ウインドーエリアは限られており、解放感は低い。後席の乗員は、ドライバーなりパッセンジャーが降りなければドアの開閉もままならない。開閉の自由が奪われているから、精神的な閉塞感もある。幼い子供やペットが乗るスペースのように想像した。

 マツダは環境性能に優れたスカイアクティブエンジンを開発し、ディーゼルエンジンの熟成にも力を注ぐ。一方で観音開きに挑戦し、ピュアスポーツカーをも生産し続ける。明らかにライバルメーカーとは異なった施策を打ち出し続けるのだ。そんなマツダが放った観音開きのSUVがブレイクすることを期待したい。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。 

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