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島忠、隠れた高収益企業を支える“反・拡大路線”経営…絶えず持続的成長の秘密

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 近年の客数の増加と堅実な財務内容を踏まえると、島忠は自社の取り組みに矜持を持っている。その戦略を首都圏以外の日本全体、さらには海外で進めるために、同社は経営体力のある企業の傘下に入り、事業運営面では独立性を維持しつつ成長を実現したい。コロナショックによって、国内のDIY需要の高まりが確認された状況は、島忠が東京一極に集中してきた店舗展開の方針を修正し、さらなる成長を目指すチャンスでもある。島忠は、M&Aを経て中期経営計画(2018年10月公表)に記された家具とホームセンター事業の人材登用の一体運営や、新しい店舗運営コンセプトの推進などを加速化させたいだろう。

 DCMなど買収の意思を持つ企業に求められるのは、“聞く耳”を持つことだ。買収企業の経営者は、その費用負担を上回る成長を実現しなければならないと、腹をくくっている。そのため、どうしても買収した企業の経営に口を出したくなる。それが人情だ。財務内容が不安定化した企業などを買収する場合なら、強いリーダーシップ発揮によって早期に事業体制の立て直しを目指すことは重要だ。

 今のところ、島忠の経営状態は安定している。だからこそ、ニトリも同社に対してM&Aの相手として強い興味を持っている。家具販売を中心とするニトリとしても、ホームセンター分野への足掛かりとなる島忠のM&Aは十分な意味を持ち得る。

 今後の島忠のM&Aの行方は、島忠の意をくみ取った上で規模の経済効果や物流網の効率化などによるシナジー効果の発現を目指すかに左右されるだろう。その結果として、M&A後に島忠の店舗がより多くの消費者の支持を得られるのであれば、島忠の買収は日本企業が組織を統合して、より効率的かつ持続的に成長を目指すための重要なケーススタディとして扱われる可能性がある。いずれにしても、島忠・DCM・ニトリのM&Aがらみの展開は見ごたえがありそうだ。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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