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浅井佐知子「世界一やさしい 不動産投資のお話」

購入後30年以上ずっと損失発生…不動産投資、初心者が絶対避けるべき3つのこと

文=浅井佐知子/不動産鑑定士、不動産投資コンサルタント
購入後30年以上ずっと損失発生…不動産投資、初心者が絶対避けるべき3つのことの画像1
「Getty Images」より

 こんにちは! 不動産鑑定士、不動産投資コンサルタントの浅井佐知子です。

 今回は初心者が陥りやすい不動産投資の失敗について説明したいと思います。初心者が特に失敗しやすいパターンは大きく分けて3つあります。このポイントさえ押さえておけば、最悪の失敗パターンにはまる可能性はかなり低くなります。

初心者が陥る罠1:業者の「無料セミナー」に参加して、その場で契約

 さあ、不動産投資の勉強をしよう! と思ったら、あなたはまず何から始めますか? アマゾンや書店で不動産投資の本を探したり、ネットで「不動産投資セミナー」を検索したりするのではないでしょうか。ただし無料の不動産投資セミナーに参加するのは少し気を付けましょう。参加すること自体は悪くないし、無料でも良質なセミナーというのもたまにあります。

 もっというなら、不動産業者が開催する無料セミナーは気を付けたほうがいいということです。不動産業者が開催するセミナーはたいていの場合、セミナーの後、個人面談が用意されています。その場で物件を紹介されるのですが、なんといってもまだ知識がほぼゼロ、これから勉強しようという時にプロの営業マンから営業トークを受けたら、どのくらいの人が断れるでしょうか?

 ローンがセットになっていて、自己資金はほぼゼロに近く、ほとんどただで物件をゲットできるのです! こんなにも魅力的に思える提案を断ることができますか? 知識がない段階で、この営業トークを受けるとまず10中8、9罠にはまってしまいます。

 無料セミナーは、融資が比較的つきやすい区分マンションが多いのですが、紹介される物件は、30年~35年間のローンを組み、その間、毎月のキャッシュフローはよくてゼロ、ほとんどの場合はマイナスになります。しかもキャッシュフローがマイナスになっても、節税効果はほぼありません。キャッシュフローはマイナスなのに課税所得はプラスになるという恐ろしい事態が生じます。

 ここでは詳しく説明しませんが、キャッシュフローがマイナスになっても、土地の金利の一部が経費にできないケースが発生するからです。こういう物件は、いわゆる「年金目的」で買ってはいけない物件なのです。それなのに、こういう物件を買ってしまう人のほとんどは、40代、50代のサラリーマンです。ローンを払い終わったら、何歳になっていますか? 定年後はどうやってローンを返し続けるのですか? 空室時のローン返済や、リフォーム費用などは払えますか? こういうことを精査する必要があります。

 そんなに素晴らしくおいしい投資物件が簡単に手に入るわけはなく、その後30年以上にわたって苦しむことになります。その場で契約することだけはやめておきましょう。断るのが苦手な人は、知識がない段階での業者主催の不動産投資セミナーには参加しないことです。

初心者が陥る罠2:利回りの高さだけに惹かれて契約

 利回りが高いというのは不動産投資をするうえで、重要ポイントになります。ただし、利回りがなぜ高いのか? そもそも本当に高いのか? ということが理解できるかどうか、できないうちはまだ買ってはいけません。

(1)見せかけの高利回り

「利回り15%!!」という広告を見ると思わず飛びついて買い付けを入れる人がいます。利回り15%の中味を考えてみましょう。

表面利回りは15%だけど、実質利回りは5%というケース

 古い区分マンションでよくあるケースです。確かに表面利回りは15%ですが、管理費と修繕積立金、その他特別積立金や水道代なども引かれ、固定資産税等を引くと実際の利回りは5%程度しかないのです。区分マンションは簡単に実質利回りを計算できるので、自分で計算してみる必要があります。

・表面利回り15%のアパート、よく見ると半分が空室

 利回りはすごくいいけれど、どのくらい稼働しているのかを見てみると、半分が空室というケースがあります。しかも空室の想定賃料がどう見てもかなり高いのです。その高い賃料で利回りを計算しているのですから高利回りを達成してしまうのも無理はありません。こういう、まやかしの利回りに初心者は騙されてしまうのです。

・一部屋13平方メートル、ロフト付き。利回り15%

 ちょっと田舎の駅から20分歩いたところに建っている築30年以上のアパート。なんと一部屋13平方メートルしかありません。でもロフトがついているから問題ないと不動産業者の担当者はいうけれど、それは本当でしょうか? レントロールを見てみると、上記のケースと同じ、半分が空室で想定賃料がとても高額で計算されていました。

(2)事務所、店舗、シェアハウス

 事務所や店舗は運営が難しく、また景気に左右されやすいため、いったんテナントが出ていってしまうと数年決まらない、などということも多々あります。ビル1棟が事務所、店舗だと普通の人、特に初心者には融資という壁があり、まず購入することはできないのですが、たまに1階店舗、2階以上が共同住宅という物件があります。こういう場合は利回りが良く融資も出てしまうのです。1階の店舗にテナントが入らなくても十分に収益が出る不動産かどうかを検討する必要があります。

 シェアハウスは戸建などを複数の人でシェアして暮らす賃貸住宅のことです。キッチンやお風呂・トイレは共同で、各個室があるようなイメージです。設備が一つで複数人が住むため、普通に戸建住宅として貸すよりも断然収益は良くなり、利回りも高くなります。自分で運営する場合は確かに高利回りを達成できますが、運営会社に委託する場合は管理手数料が一般のアパートなどと比べると4倍~6倍取らます。また、人の移動も激しいため、収益が安定しません。リスクが高いため融資してくれる金融機関も少ないのです。

初心者が陥る罠3:探し疲れて、「まあまあの不動産」を「まあいいか~」と契約してしまう

 良い物件というのはなかなか出てきません。「千三つ」といわれるように、1000の物件を見てもその中で本当にいい物件は3つしかないのです。しかもやっと良い物件にめぐり合ったとしても、他にもライバルがたくさんいて、スピードで負けてしまい結局買えなかった、という状況が続きます。そうなると、「もう疲れた! そんな良い物件は自分には回ってこない」となります。そして、その時たまたま見つけた物件で、利回り的にも場所的にも建物的にもそれほど良くはないけれど、まあまあかな? と思う物件を「まあいいか~」と買ってしまうのです。

 こういう不動産を買ってしまうと、返済比率(銀行への返済額÷年間収入)が高いため銀行への返済が大変で、空室になってもなかなか入居者が決まらず、空室が続くと本業のお給料から補填することになります。運営がとても大変だ、ということです。

まとめ

 初心者が陥る以下の3つの罠に気を付けましょう!

1. 業者の「無料セミナー」に参加して、その場で契約

2. 利回りの高さだけに惹かれて契約

3. 探し疲れて、「まあまあの不動産」を「まあいいか~」と契約してしまう

浅井佐知子/不動産鑑定士、不動産投資コンサルタント

浅井佐知子/不動産鑑定士、不動産投資コンサルタント

「不動産鑑定士の資格を持った不動産投資コンサルタント」としての実績が豊富で、不動産投資家からの信頼も厚く、きめ細やかなサービスで支持、信頼を得ている。現在、不動産投資スクールを開催。個人の投資家が絶対に失敗しない、幸せな投資家になれる啓蒙活動を行い続けている。著書に『世界一やさしい不動産投資の教科書 一年生


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