11月10日、上智大学と横浜国立大学が爆破予告を受けたとして、キャンパスが閉鎖される措置を取った。一部報道によると、いずれの爆破予告も、「恒心教(こうしんきょう)」という実態のない団体を名乗っていたという。
「恒心教は、“インターネットに詳しい弁護士”として掲示板やブログでの誹謗中傷の対応をすることで知られる唐澤貴洋氏をからかうネットユーザーの集まりです。唐澤氏のSNS上の発言などをあげつらうなど誹謗中傷を繰り返すが、彼らは唐澤氏を慕うがゆえの行動であるとして『恒心教徒』を自称するようになったのです。
その後、ユーチューバーの鈴木ゆゆうたが、自身のYouTubeチャンネルなどで“一般男性脱糞シリーズ”の歌を公開すると、事態が大きく動きました。このシリーズの歌の題材が、恒心教徒らが唐澤氏をネタにしてネット上で書き込んだものであったことから、恒心教徒がゆゆうたに対し、このシリーズの使用をやめ、すでに上げた動画をすべて削除するように要請。しかし、ゆゆうたがしばらく無視して活動を続けていたことから、恒心教徒はゆゆうたとその周囲に対して、さまざまな“攻撃”が加えるようになっていったのです」(芸能記者)
恒心教徒は、ゆゆうたや彼とコラボしたユーチューバー、さらにはゆゆうたを支持するファンらの個人情報をネット上で公開したり、自宅へサソリや包丁などを送りつけるという嫌がらせを続けた。
「嫌がらせが過激さを増すなか、ゆゆうたは恒心教に対して謝罪し、“一般男性シリーズ”を歌わないことを約束しました。関連動画も削除したのですが、恒心教は対応が遅かったなどとして攻撃を継続。ゆゆうたが何度引っ越しても、その住所をすぐに特定してネット上に公開しています」(同)
その後も嫌がらせはエスカレートし、今年6月には東京都立大学や電通などに対して相次いで爆破予告メールが送られた。その際、4件の差出人がゆゆうたの本名である「スズキユウタ」が使われていたのだ。
11月に入り、その一部の犯行に関与していた疑いで、恒心教徒を自称する大阪大学の大学院生が逮捕された。だが、犯行はかなり大規模に行われており、犯人はほかにも大勢いるとみられる。同様の爆破予告は全国各地に及んでおり、特に東京都内では今年1月から10月までに130件以上もあったという。その多くは愉快犯と考えられるが、社会的影響も大きく悪質性も高いとして警視庁は捜査第一課を投入している。
「今回の上智大学等への爆破予告は、恒心教を名乗ってはいるものの、何を目的としたものかは明確になっていません。実は恒心教は、2015年にグーグルマップを不正に書き換える犯罪を行うなど、ネットに精通している人物が多いとみられます。爆破予告も、多くは発信元を特定できなくするソフトを使っているため、捜査は困難を極めているようです」(全国紙社会部記者)
爆破が実行される可能性が低いとしても無視するわけにはいかないため、予告された企業や役所、学校などは業務と停止し、警察も動かざるを得ない。威力業務妨害罪や脅迫罪などの刑法犯として、懲役刑や罰金刑、さらに巨額の損害賠償を課せられる可能性がある。安易な気持ちで爆破予告などをすれば、その報いは甚大なものとなるだろう。
(文=編集部)