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六代目山口組系幹部がまたも「発砲事件犯」として出頭「ヤクザの精神を見せつけた」

文=山口組問題特別取材班
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「確認中」六代目山口組系幹部がまたも「発砲事件犯」として出頭「ヤクザの精神を見せつける」の画像1
容疑者が出頭した尼崎南警察署

 11月3日に尼崎市内で起きた、神戸山口組若頭補佐ほか1名に対する発砲事件に関して、ある噂がまことしやかに囁かれたのが11月10日のこと。それは「発砲事件の実行犯として、11月5日に尼崎南警察署に出頭し、殺人未遂容疑で逮捕された六代目山口組三代目司興業幹部に続き、もう1人の実行犯も同警察署に出頭してくる」というものだった。この情報をキャッチした在阪メディアは、翌日11日早朝から尼崎南警察署前に張り込み、カメラを構えていたのだった。

 すると、同日午前中には早くも事態が動く。電子タバコを吸いながら、キャリーバックを引く1人の男性が、慌てる様子もなくゆっくりとした足取りで警察署前に現れたのである。その人物こそ、もう1人の実行犯である六代目山口組三代目司興業系幹部、加藤伸治容疑者であった。

 先に出頭した藤村卓也容疑者に続き、今回逮捕された加藤容疑者も、同じ尼崎南警察署に出頭したのには理由があるようだ。ある業界関係者はこう推察する。

 「ヤクザの美学として、自らの手で事件を起こせば、長期刑を覚悟の上で、犯行後に警察署へと出頭する習わしがある。それも、事件を管轄する警察署で行くというものだ。その理由は、地域住民に迷惑をかけたことへの謝罪の意味と、所轄の顔を立てるという意味が含まれている。仮に他の警察署へと出頭すれば、所轄の捜査員としては憤懣やるかたない気持ちになるものだ。それはそうだろう。所轄で発砲事件を起こされ、警戒を強め、大人数で捜査を進めておきながら、よそ(他の警察署)が犯人を逮捕となったら面目がない。社会からしたら、今回のような発砲事件は決してあってはならないことだが、ヤクザ社会の通念として、今回、所轄に自首した実行犯たちは責務をまっとうしたといえる。六代目山口組サイドには、ヤクザとしての強固な精神が根付いていることを内外に示したわけだ」

 現在、ヤクザに対する当局の取り締まりは厳しさを極め、特に六代目山口組と神戸山口組は今年年初に特別抗争指定暴力団に指定されたことで、本来であれば、今回のような発砲事件など起こすことはできないといわれてきた。それでも六代目山口組サイドは、組織的な犯行ではなく、組員個々が長期刑を覚悟で、山口組分裂問題を早期解決するためには武力行使を厭わないという姿勢を貫いている。

 「それは、社会の土を2度と踏めないかもしれないことを覚悟の上での行動です。以前であれば、抗争での発砲事件により、相手を銃殺するようなことがあったとしても、早ければ15年で社会へと復帰することができました。それでも、決して短い年月ではない。ただ若ければ若いだけ、刑期を終えたあとの未来の展望を描くことができた側面があったと思います。たえば、身を賭けた功績として、出所後に組織幹部へと昇進するなどです。しかし、厳罰化が進んだ現在では、元気なうちに社会へと帰ってこられるかどうかもわからない。かつ、暴力団排除条例などの取り締まり強化を受けて、ヤクザ組織は弱体化し、反社会的勢力と位置づけられ、社会的にも身の置き場がなくなっている。仮に10数年後に出所できたとしても、前向きな未来の展望を描くことなどできません。それでも人生のすべてを賭けて、抗争事件を戦い抜こうとする組員が存在する。これこそが、ヤクザの生き方ということではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 今回、カメラが捉えた、出頭する加藤容疑者の足取りは、決して何かに追われているようには感じられなかった。このジャーナリストが言うように、すべてを覚悟の上で出頭してきたということなのだろうか。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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