
今年もあと1カ月あまり。日本テレビとテレビ朝日の民放2強による視聴率レースも、いよいよ終盤に入ってきた。そんな中、視聴率向上を迫られ、リニューアルを敢行した日テレの3番組の現状を追った。
『みんなのどうぶつ園』の問題点
16年半、『天才!志村どうぶつ園』の“園長”として人気を博した志村けんさん。今年3月の死去後、同番組で“飼育係”というポジションでレギュラー出演していた嵐・相葉雅紀が遺志を受け継いだ形で始まったのが『I LOVE みんなのどうぶつ園』だ。
「10月3日にスタートした同番組の視聴率は、世帯11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人7.0%と及第点は超えたものの、その後は世帯9%、個人5%台が続いています。11月14日の放送では、志村園長が我が子のようにかわいがっていたチンパンジーのプリンちゃんのもとに相葉が出向き、園長が教えようとしていた自転車の乗り方をプリンちゃんに教えていました。
ただ、この番組の問題点は『志村どうぶつ園』の看板をわざわざ外す必要があったのかということ。志村さんが他界し、“座長”がいなくなったとはいえ、その代表番組を勝手に潰したことには変わりがない。しかも、その後まったく違う番組を立ち上げるならまだしも、後継番組をつくっておいて、志村さんの“遺産”で数字を取っている。番組づくりをする上で、あまり健全な形とはいえません」(テレビ局関係者)
さらに、もう2つの番組でも由々しき事態が起きている。そのうちのひとつが『幸せ!ボンビーガール』だ。
『ボンビーガール』を待つ運命とは
「深夜帯を含めて2011年からオンエアされている『ボンビーガール』ですが、最近の視聴率は世帯10%を切っていました。その理由には、『逃げるは恥だが役に立つ』『恋はつづくよどこまでも』『私の家政夫ナギサさん』といった、いわゆるTBSの火曜ドラマが堅調であること、新型コロナ関連のニュースによって『報道ステーション』(テレビ朝日系)が好調であること、などが挙げられます。つまり、裏番組が強くなっているのです」(同)
そこで、9月22日の放送回からリニューアルされたというのだが……。
「結果は世帯9.5%、個人5.3%でした。実は、リニューアルといってもそれまでの企画のマイナーチェンジばかりで、純粋な新コーナーは何ひとつなかったのです。そもそも、最近は番組タイトルに“偽りあり”といった感じで、貧乏を前面に押し出さなくなりつつあります」(同)
『ボンビーガール』の源流ともいえる番組が、同じように貧しくても明るく生きる人を紹介するバラエティ『銭形金太郎』(テレビ朝日系/2002~07年)だ。
「“本家”の『銭金』も07年8月からビンボーさんを紹介する企画はなくなり、『天ぷら油号で行く激安店めぐり』『街でウワサのユニーク家族』など、『ビンボー』というキーワードや、そこから連想される事柄自体が番組から一切排除されてしまったのです。結局、同年12月には打ち切りとなりました。『ボンビーガール』は取材対象を女性に絞ったところが新しかったのですが、同様の運命をたどりつつあるように見えます」(同)