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木下隆之「クルマ激辛定食」

トヨタ「GRヤリス」、走りが激熱!社長自ら主導、ラリー王者のコンセプトと技術を搭載

文=木下隆之/レーシングドライバー
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トヨタ自動車「GRヤリス」

 新しくデビューしたトヨタ自動車の「GRヤリス」が、巷の話題をさらっている。

 この春にデビューした「ヤリス」と混同しそうだが、コンセプトもつくり込みも、まったく別物である。プラットフォームこそ流用するものの、フロントのライトとコンビネーションランプ以外に共通点はない。そもそも、ヤリスと名乗ることが不自然なほどの隔たりがある。

 搭載するエンジンは2種類だ。最強の1.6リッターターボエンジンは直列3気筒であり、272馬力というとてつもないパワーを発揮する。組み合わされるトランスミッションは、6速マニュアルのみでオートマチックの設定はない。「GR-FOUR」と呼ばれる4WDシステムと合体される。ということで薄々想像がつくかもしれないが、徹底的に走りを磨き込んだ武闘派マシンなのである。そのため「RZ」という攻撃的な名を授かった。

 平穏なモデルも用意されている。「RS」の名は少々勇ましいが、1.5リッター直列3気筒NAエンジンを搭載、最高出力は120psにとどまる。RZが6速マニュアルと組み合わされているのとは対照的に、CVTオートマチックのみ。4WDではなくも平凡なFF駆動という設定だ。RZが徹頭徹尾激しさを追求しているのに対して、RSは日常の使い勝手を優先しているのである。

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 さて、その272psパワーとGR-FOURを組み合わせたRZには、さらに過激な「肺パフォーマンス」がある。前後にトルセンLSDを組み込み、限界ギリギリの走りを支えるのだ。

 エンジンパワーは強烈で、1.6リッターという排気量からは想像できないビッグトルクが怒涛のように押し寄せる。それを前後のタイヤは強引に路面を掻きむしる。そのスタイルは、およそヤリスの面影はない。

 通常のデフォルトモードは、前輪にパワーの60%を与え、後輪に40%を伝達するという“FF寄りの4WD”特性だ。だが、ひとたびモードダイヤルを「スポーツ」にセットすれば、前後トルクはフロント30%:リア70%に変化する。より後輪に駆動トルクが伝わるようになり、FR風の走りが楽しめるというから舌を巻く。そしてさらに「トラック」モードにアジャストすれば、前後駆動トルクは50%:50%になる。例えばラリーやジムカーナ、あるいはサーキットレース用であり、圧倒的なトラクションが得られる。

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 挙動の激しさは、さらに増す。コンマ1秒を競い合うような、コンペティションの世界を頭に描いている。それもそのはず、GRヤリスは開発手法が特殊である。WRC世界ラリー選手権で王者に輝いた競技車のヤリスのコンセプトと技術を、そのまま市販車に落とし込んだというのだ。一般的な競技車は、市販車を改造することで成立させている。だがGRヤリスはまず、世界を戦った競技車がベースにあり、それが公道に舞い降りてきたというプロセスを踏むのだ。

 開発に携わったのは、自らステアリングを握り主導した「モリゾウ」ことトヨタ社長の豊田章男氏、そして国内のトップドライバーである石浦宏明氏や大嶋和也氏が加わっている。競技の世界で成功したメンバーが徹底的に鍛え上げ、セッティングしたのである。それを知れば、走りが熱く激しいのも納得する。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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