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木村隆志「現代放送のミカタ」

「恋愛ドラマの秋」なぜ復活?視聴率1桁でも“失敗”ではない理由&テレビ局の本音

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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火9ドラマ『姉ちゃんの恋人』| 関西テレビ放送 カンテレ」より

 かつて秋ドラマはラブストーリーの時期だった。たとえば、フジテレビの月9枠を振り返るとわかりやすい。

 1988年秋の『君が嘘をついた』、1990年秋の『すてきな片想い』、1991年の『逢いたい時にあなたはいない…』。いずれもクリスマスの時期に最終話を迎え、劇中でも「クリスマスの日にハッピーエンドで締めくくる」という展開で日本中が盛り上がっていた。

 そんな「恋愛ドラマの秋」というイメージは、昭和後期から平成前期にかけて盛り上がった後、徐々にフェードアウト。平成中期から後期にかけては、秋に限らずラブストーリー自体が激減していた。

 しかし、コロナ禍に見舞われた令和2年、久々に「恋愛ドラマの秋」が復活。『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)、『この恋あたためますか』(TBS系)、『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系)、『恋する母たち』(TBS系)の4作が放送され、ジャンル的には『共演NG』(テレビ東京系)と『ルパンの娘』(フジテレビ系)もラブコメであり、多くの恋模様が繰り広げられている。

1桁視聴率でも「失敗」ではない

 ただ、世帯視聴率はそろって低調。『姉ちゃんの恋人』が7~8%、『この恋あたためますか』が8~9%、『#リモラブ』が7~8%、『恋する母たち』が7~9%、『共演NG』が4~5%、『ルパンの娘』が5~6%程度に留まっている。現在の「合格ライン」と言われる2桁に届きそうなムードはなく、多くのネットメディアから「失敗」の烙印を押されている。

 では本当に「失敗」なのかと言えば、答えはノー。各局ともにこれくらいの世帯視聴率は想定内であり、「取れるに越したことはないが、絶望しているわけではない」と聞いた。

 もともとラブストーリーは女性視聴者層、中でも10~30代に偏りやすく、その意味でヒット作にはなりにくい。世帯視聴率も「よくて10%台中盤」とされるレベルであり、最初から大ヒット狙いのジャンルではないのだ。

 では、なぜラブストーリーを放送するのか。それは前述した10~30代女性というメインの視聴者層が「スポンサーの求めるものと一致する」から。つまり、スポンサーが商品を売りたい層にアプローチできるのがラブストーリーであり、視聴率が振るわなくても、それなりの広告収入が期待できる。

 今春にビデオリサーチの視聴率調査がリニューアルし、年代性別のデータ詳細が出せるようになったことで、民放各局の意識が一変。メディアで報じられている世帯視聴率ではなく、10~40代までの個人視聴率が最重要視されるようにガラッと変わった。

 今なお、さまざまなネットメディアで「視聴率1桁に低迷」などと書かれた記事が量産されているが、これらはほとんど意味がなく、真に受けない方がいいだろう。現在放送されている恋愛ドラマが失敗作と言われていないことが、それを証明している。

クリスマスのハッピーエンドが既定路線

 ただ、正味な話、「ネット上の盛り上がりはもっとほしい」というのが、彼らの偽らざる本音。

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