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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

コロナ:女性就業者数、男性より減少幅大きく…EC拡大が女性の職奪う、非正規比率5割超

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
コロナ:女性就業者数、男性より減少幅大きく…EC拡大が女性の職奪う、非正規比率5割超の画像1
「Getty Images」より

対人価値を希薄化させたコロナショック

 コロナショック以降の就業者、雇用者数を見ると、今年3月から9月にかけての減少人数は、雇用者では女性で縮小傾向にあるが、就業者で見ると女性のほうが依然として減少幅が大きいままとなっている。特に、対人関係の希薄化というところに関連する業種で大きく減っていることが推察される。

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 こういった女性の就業環境の悪化の背景として、主に3つの要因がある。1つ目が、いわゆる非接触化の進展で、サービス関連や卸小売といった、女性比率が高い職場で雇用が減ったことである。

 2つ目が、女性の非正規比率が高いことである。非正社員のほうが雇用調整を行いやすいため、より雇用が減少しやすかったと考えられる。

 そして3つ目が、コロナ下でオンライン化やEC化が進展したため、配送業や情報通信業などの雇用が増えており、男性雇用には部分的にはプラスに作用した一方で、女性の雇用にはあまりプラスに作用しなかったことがある。

女性雇用が激減した背景

 次に、就業者数の男女別変化を業種別に見てみよう。今年の3月から9月までの変化幅で見ると、宿泊・飲食サービスや生活関連サービスなどはすでに今年の3月までにかなり減っており、3月からの減少幅という意味ではむしろ卸小売のほうがマイナス幅が大きいことがわかる。

 また、医療福祉は、コロナ禍によって人のニーズが強まっているにもかかわらず、労働市場から女性を中心に退出をしていることが垣間見れる。逆に、10万人以上増えている分野として情報通信があり、男性を中心に増えている。いわゆる技術関連、情報通信関連技術の職でかなり人が増えていることが推察され、残念ながら女性の雇用は増えてない。

 また、非正規雇用比率を男女別に見てみると、男性は2割強に対して女性が2019年時点でも55%以上あり、こうした要因も女性雇用が大きく減りやすい背景になっている。

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減り続ける卸小売業の雇用

 さらに、これはコロナ以前からの問題であったが、3月以降の減少が大きい卸小売、特に小売の現場ではネット通販が一段と拡大しており、対面による販売のニーズは減っている。小売業での女性比率は高いことから、女性の雇用はこうした分野で減りやすかった。経産省の「電子商取引に関する市場調査」によれば、2019年時点でBtoCのEC化率は6.76%まで上昇しており、コロナショック後の2020年は劇的に上昇していることが予想される。

 なお、最近では所有から利用・使用への流れが強まっており、物を買わないで借りるというかたちで、サブスクリプションの市場も進展している。対面販売のビジネスの縮小、さらにはこれに加えて無人レジの導入も進んでいるため、今後、これまで担ってきた女性雇用の受皿としては厳しい状況になっていることも背景にある。

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