この労働局の指導をもとに都教委は、違法状態にならないように仕様書を改定し、現場へ細かい通達も行って、二度と違法行為を犯さないように対処したはずだった。

東京都、違法行為横行で学校図書館の民間委託見直しへ…違法性排除できず、コスト削減効果もなしの画像2
15年7月29日に労働局長名で、東京都・舛添要一知事に出された是正指導書

 ところが、事件後も、思わぬ「闇」が潜んでいた。

 まず、偽装請負発覚前から受託した事業者が契約通りに司書を配置できない契約不履行が続出。都教委の指導担当部署は、そのつど受託者に始末書を提出させていたが、その後も不履行は続き、一向に改善される気配はみられなかった。

 それもそのはず。受託業者の大半は、図書館業務とは縁遠いビル管理業や清掃業、事務派遣業を本業とする異業種からの参入だったからだ。専門の司書を常時スタッフに抱えているところはなく、3月上旬に落札したあとに4月から勤務する司書を募集する泥縄方式。募集条件は、非正規で短時間のシフト勤務が中心。給与は最低賃金レベルというのだから、「民間の専門業者に依頼して、質の高いサービスを提供してもらう」という建前は、この事業がスタートしたときから“絵に描いた餅”にすぎなかったのだ。

 都は15~16年度に起きた不履行の委託金を後に返還させていたが、筆者が調べた範囲では、一部、不履行があったのに委託費返還されていない分も残っていた。

 17年度からは事業者の選定を、それまでの入札額のみで決まる「落札方式」から、技術点も加味した「総合評価方式」に変更。また、単年度契約から3年契約に順次移行し、委託費も完了した分のみ支払う単価契約に変えるなどの方策が取られて、とりあえず不祥事は根絶されたはずだった。

民間委託見直しの流れは自明の理

 ところが、米川都議の調査によって、その後も違法状態が依然として解消されていない実態が判明した。

 東京都が労働局の是正指導後に改定された仕様書では、二度と違法状態に陥らないよう緻密な規定が記載されていはずだったが、その仕様書には「抜け穴」が潜んでいたのだ。米川都議は、こう解説する。

「改定される前の仕様書では、学校側から指示命令を受けて現場の委託スタッフにその意向を伝える業務責任者は、委託会社の本社にいる社員でした。それが改定後は、まず『受託者』と呼ばれる委託会社の社員に現場を統括させ、そのうえで現場の委託スタッフのなかに技能・経験のある『業務責任者』を兼務するようにしました」

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