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JRAジャパンカップ、アーモンドアイの買い材料と死角…データ的にコントレイルは危険?

文=井山良介/経済ライター
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第160回天皇賞(秋)ゴール前のアーモンドアイ(「Wikipedia」より)

 競馬史上、空前絶後のレースが行われる。三冠馬3頭が激突する11月29日のJRA・G1ジャパンカップだ。

 父ディープインパクトの最高傑作と言って差し支えない、史上3頭目の無敗三冠馬コントレイル。歴代の三冠牝馬が達成できなかった史上初の無敗三冠牝馬デアリングタクト。そして、秋の天皇賞で芝G1新記録となる8勝目を挙げた三冠牝馬アーモンドアイ

 これまで、三冠馬の対決はミスターシービー対シンボリルドルフ(1984年ジャパンカップ、84年有馬記念)、オルフェーヴル対ジェンティルドンナ(12年ジャパンカップ)と2頭対決が3回ほど行われているが、3頭の激突は競馬史上初めてのことである。

 多くの競馬ファンがそうであるように、筆者もレース予想をするだけでハイテンションになってしまうが、ここは落ち着いて「どの馬が勝つのか」「伏兵はどの馬か」を、いくつかの予想ファクターから導き出してみたい。

1番人気確実!アーモンドアイの買い材料と死角

「一番勝つ確率が高い馬」と聞かれたら、やはりアーモンドアイと答える。三冠達成を遂げた2年前、秋華賞からの臨戦で2分20秒6の世界レコードで駆け抜け、G1で4勝目を挙げた。今秋は天皇賞で、シンボリルドルフ・テイエムオペラオー・ディープインパクト・ウオッカ・キタサンブラックを上回るG1で8勝目を樹立。日本一の馬と言って差し支えない実績の女傑だ。

 この馬が3歳春のオークスで記録した2分23秒8は、コントレイル(日本ダービー)の2分24秒1、デアリングタクト(オークス)の2分24秒4を上回っている。馬場やコース、斤量、体調、展開などの違いはあれど、ひとつの目安にはなる。

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『中央競馬全重賞攻略データブック』(英和出版社)

 世代比較でもアーモンドアイは抜けている。11月15日のエリザベス女王杯でG1で4勝目をマークした同世代のラッキーライラックは、アーモンドアイの三冠レースで2・3・9着だった。アーモンドアイが天皇賞で負かしたフィエールマンはG1・3勝馬だ。

 この点を考えると、コントレイル・デアリングタクトとも無敗記録にピリオドが打たれる可能性は低くはない。2頭の相手は、これまでとは比較にならない強豪となる。特にデアリングタクトは、オークスでコンマ1秒差2着だったウインマリリンが、エリザベス女王杯でラッキーライラックからコンマ4秒差の4着だった。健闘といえる部類だが、世代的に一抹の不安は生じる。

 仮に全馬が同じオッズならアーモンドアイに賭けたくなるが、競馬とは私たちファンがお金を奪い合うゲームでもある。なので、次にアーモンドアイの死角を探そう。

 4歳以降、アーモンドアイは7戦を戦ってきたが、着順を記すと1・3・1・9・1・2・1。古馬になって一度も連勝していない。海外遠征後の安田記念はスタートで不利を受けて3着。4歳秋の天皇賞を勝った後の有馬記念は、初の中山が響いたのか9着。Vマイルを勝った直後の安田記念では、出遅れが響き2着。「一戦ごと全力を出し切る」タイプでもあり、俗にいう反動か“二番”が続かない。引退レースは勝てないとのジンクスも頭に浮かぶ。単勝ではなく連軸とした方が無難かもしれない。

偉大な2頭を超えるか?無敗三冠馬コントレイル

 アーモンドアイを負かすとすれば、真っ先に上がるのがコントレイルだ。東京コースは2戦2勝、ジャパンカップと同じ東京2400mの日本ダービーでは、2着サリオスに3馬身差の圧勝をしてみせた。

 圧巻は前走の菊花賞だ。アリストテレスにかわされた、と思った次の瞬間、クビ差先着した。負けてもおかしくない直線の攻防を見る限り、勝負根性には相当なものがある。

 ただし、アリストテレスは前走で2勝クラスを勝ったばかりだった。ジャパンカップのメンバーは、G1優勝馬が外国招待馬を含めて10頭もいる。これまでとは比較にならない強豪を相手に、ダービーのような圧勝劇が期待できるだろうか。

 菊花賞のコントレイルは、過去6戦とは比較にならぬ激闘を強いられた。その疲労は確実に懸念される。1週前追い切りも併せ馬で遅れを見せていた。

 先週のマイルCSでコントレイルと接戦を続けてきたサリオスが、安田記念でアーモンドアイを負かしたグランアレグリアに2馬身弱及ばずの4着に敗れ、世代的なレベル差も感じさせられた。

 無敗三冠馬の父ディープインパクトは初の古馬相手となった有馬記念で前を行くハーツクライをとらえきれず2着に敗れ、無敗記録は8戦目で途切れている。コントレイルは父と同じ8戦目。歴史は繰り返すか、それとも偉大なる父を超えるか。

データで浮上の注目馬と3着にきそうな穴馬

 2頭を前に見る展開で直線勝負に懸けそうなのが、無敗三冠牝馬デアリングタクトだ。2頭が55キロを背負うのに対し、デアリングタクトは53キロのアローワンス。8年前のジェンティルドンナも2年前のアーモンドアイも53キロで勝つなど、過去10年の三冠牝馬は2頭とも秋華賞から挑み、G1連覇を達成している。

 2021年度の全重賞レースをデータで予想する『中央競馬全重賞攻略データブック』(英和出版社)の責任編集者・小川隆行氏は、この馬を3頭馬券の軸とするそうだ。

「ディープインパクト産駒でジャパンカップを制したのはジェンティルドンナ(2勝)とショウナンパンドラで、いずれも牝馬です。3着以内になったディープインパクト産駒の8頭中5頭が牝馬で、牡馬3頭は3・2・3着でした。また、菊花賞を勝った次走でジャパンカップに挑んだ馬は4頭いますが、1頭も優勝していません。あのシンボリルドルフでさえ3着でしたし、データ的にコントレイルは勝ちにくい、と感じます。

 ギャンブル的に考えれば、3歳牝馬のデアリングタクトには要注目です。3番人気となりそうですが、53キロの3歳牝馬はグレード制導入後、29頭が出走して7頭が3着以内。過去10年でも11頭出走で4頭が連対しています。3番人気だった三冠牝馬ジェンティルドンナは、三冠馬オルフェーヴルにクビ差先着しました。

 以上を踏まえると、アーモンドアイとデアリングタクトの2頭軸3連複&デアリングタクト1着・アーモンドアイ2着で流す3連単がおもしろいと感じます。相手は昨年2着のカレンブーケドール、京都大賞典優勝馬グローリーヴェイズ、ロジャーバローズの一発が印象的だった浜中騎乗のキセキ、そしてコントレイルの4頭です」

 馬券歴40年の小川氏は、このレースの馬券を当たっても外れても家宝にするそうだ。

大穴を開ける?超人気薄の“バクダン馬”

 最後に、穴予想家の見解でまとめよう。専門紙「日刊競馬」の予想家であり、グリーンチャンネルのパドック解説者でもある久保木正則氏の見解だ。

「◎候補はデアリングタクトです。オークスの勝ちタイム2分24秒4は1週後のコントレイルのダービーの2分24秒1に劣りますが、ラスト3Fの上がりタイムはデアリングタクトが33秒1、コントレイルは34秒0でした。先行抜け出しの競馬だったコントレイルに比べ、デアリングタクトは前が壁になる苦しい内容でした」

 久保木氏がおもしろいと感じる穴馬は、外国馬ウェイトトゥパリスだ。

「この馬は、1991年優勝馬ゴールデンフェザントや2002年2着馬サラファンが持っていた種牡馬カロの血が入っています。前走の凱旋門賞は9着に敗れましたが、優勝馬ソットサスとは過去に同タイム2着の接戦をしていますし、昨年の凱旋門賞優勝馬ヴァルトガイストの2着(フォワ賞)という実績もあります」

 3頭に注目が集まれば集まるほど、4頭目に配当の魅力が生じる。ウェイトトゥパリスの鞍上は強者デムーロ。無視できない存在だ。

 競馬史上最高のレースと言って差し支えないジャパンカップ。出走予定全馬の無事なゲートインを祈りたいと思う。

(文=井山良介/経済ライター)

井山良介/経済ライター

井山良介/経済ライター

1976年生まれ。経済をメインとするフリーライター。野球に関する書籍の編集もしており、プロ野球や高校野球に関する執筆も多い。

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