溝口健二監督の映画『祇園囃子』でブルーリボン助演女優賞を受賞した千栄子は、さまざまな監督からオファーが来る有名女優の道を歩いた。代表作には、豊田四郎監督のもとで森繁久弥と共演した『夫婦善哉』、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』、内田吐夢監督の『宮本武蔵』、小津安二郎監督の『彼岸花』などの名作が並ぶ。テレビドラマでは、『太閤記』『大奥』など往年の人気作に出演している。

 また、千栄子の本名が南口キクノ(軟膏効くの)ということで、オロナイン軟膏のメインキャラクターにも抜擢された。

 私生活では、女優の稼ぎで京都に土地を購入して「竹生(ちくぶ)」という旅館を建てた。その後は、レストラン、茶屋、蕎麦屋と事業を広げた。おちょやんや女給の経験があったために、実業家としても活躍できたのだろう。

 そして、1973年に消化管出血のため、自宅で急死した。享年66歳。死後に勲四等瑞宝章が送られた。

史実では離婚しているが、ドラマではどうなる?

 浪花千栄子の人生は「波乱万丈」「山あり谷あり」といった言葉がピッタリで、『おちょやん』の脚本を手がける八津弘幸氏も、番組公式サイトで以下のように語っている。

「自叙伝などを読むと浪花さんは大変苦労されていて、表では喜劇というお芝居をする一方で、実生活では孤独であったり、裏切りに遭ったりしているんです。本作の主人公である竹井千代も傷つくことはありますが、そればかりではない極力明るい竹井千代を、全力で書きたいと思っています」

 千代に襲いかかる女中の修業とは? また、それをどうやって乗り切るのか? 史実では2代目渋谷天外と離婚しているが、このエピソードはドラマにも反映されるのか? 喜劇界の名女優とうたわれる役どころを、杉咲花はどう演じるのか?

 気になることは山ほどあるが、特に視聴者の関心が高いのは「2代目渋谷天外との離婚」についてだろう。公式サイトでは、成田凌が演じる天海一平について「やがて二人は結婚し、二人三脚で奮闘する」としか記載されていない。

 朝ドラヒロインの離婚については、前々作の『スカーレット』の川原喜美子(戸田恵梨香)と十代田八郎(松下洸平)夫婦で経験しているので、耐性を持っている朝ドラファンも少なくないはず。また、離婚を盛り込んだ方が、よりドラマに深みが出るのではないかと予想される。

 とにもかくにも、『おちょやん』には“エールロス”を吹き飛ばすような、笑って泣ける感動必至のドラマになることを期待したい。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

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