
『恋する母たち』(TBS系)の原作に柴門ふみ(63歳)、脚本に大石静(69歳)、『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)の脚本に岡田惠和(61歳)、『七人の秘書』(テレビ朝日系)の脚本に中園ミホ(61歳)、『35歳の少女』(日本テレビ系)の脚本に遊川和彦(65歳)、『共演NG』(テレビ東京系)の企画・原作に秋元康(62歳)、『危険なビーナス』(TBS系)の原作に東野圭吾(62歳)。
今秋放送中のドラマには、還暦を超える作り手の作品が目白押し。しかも上記はすべて原作・企画・脚本とストーリー絡みばかりだけに、「オーバー還暦の彼らのカラーが色濃く表れたドラマ」と言っていいだろう。
しかし、テレビ業界は今春に行われた視聴率調査の大幅なリニューアルによって、視聴者層の若返りを図っている真っただ中。民放各局がスポンサー受けのいい10~40代を狙い撃ちしているだけに、オーバー還暦の作り手たちに頼るのは矛盾ではないのか。
恋愛ドラマが得意なベテランが集結
前述した顔ぶれは、いずれも業界を代表するビッグネームであり、数えきれないほどのヒット作を持っている。「年齢を超えた普遍的な物語を手がけられる作り手」と言えばそうなのだが、失礼ながら「現在10~20代の若年層にヒットした作品があるか」と言えば微妙なところだろう。
各局のテレビマンはオーバー還暦の作り手たちのファン層である中高年層を確保しつつ、さらに若年層も狙っていこうとしているのだ。その裏付けとなっているのは、恋愛ドラマの多さ。『恋する母たち』『姉ちゃんの恋人』『共演NG』は恋愛ドラマのジャンルに入り、対象をアラ還に広げると水橋文美江(56歳)も『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系)の脚本を手がけている。
つまり、「恋愛ドラマというジャンルならオーバー還暦の作り手たちも若年層を狙っていける」という算段があったということ。また、恋愛ドラマ全盛期の1990年代に名作を手がけたベテランたちだから、中堅以下の世代よりも安心して任せられるという期待もあったのではないか。
その意味では中盤に差しかかった現在まで、ベテランらしい一定のクオリティを見せている一方、若年層の視聴者をとらえられているようには見えない。
作風のクセが強く好き嫌いがハッキリ
ここまで視聴率の点で及第点の結果を得ているのは、第5話の世帯視聴率が15.2%を記録した『七人の秘書』のみ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。他作は失敗とまでは言えないものの、ビッグネームの起用に値する結果は得られていない。
その『七人の秘書』もメイン視聴者は中高年層であり、それだけにネット上での盛り上がりはほとんど見られず。テレビ朝日にしてみれば、例年秋に放送されてきた『ドクターX ~外科医・大門未知子~』のような幅広い世代からの支持を得たかったところだが、「スポンサー収入の点では手放しで喜べる状態ではない」と聞いた。
他の作品に目を向けて見ると、『恋する母たち』『姉ちゃんの恋人』『35歳の少女』『共演NG』の4作は、「見ている人の評価こそ高いが、好みによって選ぶ作品がバラける分、視聴者の絶対数が少ない」「視聴年齢層はやや高め」という、ほぼ同じ状態。
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