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木村隆志「現代放送のミカタ」

秋元康、岡田惠和、遊川和彦…なぜ秋ドラマに“オーバー還暦”が集結?その狙いと誤算

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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「柴門ふみと大石静のドロドロな恋模様が好き」「岡田惠和のほのぼのとした世界観が好き」「遊川和彦らしいミステリアスなヒロインと強烈なセリフが好き」「秋元康のトリッキーな設定が好き」というように、作風のクセが強い作り手たちが揃ったことで、視聴者の好き嫌いがはっきり分かれている。

 ちなみに東野圭吾の『危険なビーナス』は、年齢層より「このジャンルが好きか嫌いか?」で選ばれるミステリーというジャンル。「名家の遺産相続」というテーマがマニアックなこともあってか、同じ『日曜劇場』で1~3月に放送された『テセウスの船』のような“考察合戦”などの盛り上がりは生み出せていない。

終盤で意地とプライドを見せるはず

 とはいえ、オーバー還暦のベテランたちが本当に力を発揮するのは、クライマックスに向かう終盤。彼らほどの手練れなら、「8~11話の1クール連ドラは、序盤はこう見せて、中盤はこう広げて、終盤はこう締めくくる」というプロット(あらすじ)に抜かりはないはずだ。最大のピンチ、強大な敵の登場、どんでん返し、涙の名シーン……もちろん張りめぐらせた伏線の回収など、彼らの技術がいかんなく発揮されるのではないか。

 問題はそこでファンを喜ばせるだけでなく、話題性を高めて新たな視聴者を巻き込めるかどうか。そのためには地上波での再放送はもちろん、ネット上での全話配信、さらに各話5~10分程度のダイジェスト動画を作ってシェアしてもらうなどの徹底した対策が必要だろう。

 これらの後追い視聴を促す策は、視聴率を取るべくリアルタイム視聴にこだわってきたテレビ業界の苦手なものだが、作り手たちにとっては見てもらってナンボの世界。「アニメ版が放送された昨年から流行っていた『鬼滅の刃』が、今秋の地上波ゴールデン・プライム初放送で一気にファン層を広げた」という例を見ても、まだまだ後追いで見てもらうことはできるはずだ。

 約30年にわたってほぼすべてのドラマを見続けてきた専門的な立場から言わせてもらうと、ここに挙げた作り手たちの作品なら「思っていた通りの結末」ではなく、「最後にアッと驚かせてくれるのではないか」と期待せずにはいられない。数字と反響という点で物足りなくても、オーバー還暦ならではの意地とプライドを見せてくれるのではないか。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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