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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

武田総務相、支離滅裂の“醜態”会見…「料金下げてから来い」と携帯会社や記者を恫喝

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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武田氏、「誠意を見せろ」と恫喝

Q:関連してお伺いします。同じKDDIの社長のインタビュー記事の中で、国に携帯料金を決める権限はないんだというような発言も載っていました。今、大臣のご説明で、まさに公共の電波を使う事業者ってことを、大臣が、かねがねおっしゃってて、それを意識した対応を求めていらっしゃったと思うんですけども、それも踏まえて、この発言についての受け止め、お願いできればと思います。

A:先ほど申し上げたように、コメントにあえてコメントするというのはいかがなものかと思いますけれども、非常に私はがっかりしたし、残念な思いもいたしました。何度も繰り返しますように、公共の電波を使った事業者が、コロナ禍、国民生活は非常に窮しておるし、その負担が重く大きくのしかかってきているのが現状の中において、相当な利益を上げている。その利益は各家庭の固定費にのしかかる負担の積み重ねなんです。

 国が料金を決めるとか決められないというレベルではなくて、公共性の高い事業として、国民に対してどういうサービスを提供しなければいけないのかぐらいは、常識で考えてわかると思うんです。そこのところは、自分の判断で正しい道を歩んでいただきたいと思います。

 公共の電波を使っているという立場を十分認識した上で、コロナ禍における社会貢献、日本を代表する企業ですから、利潤を追うのはわかりますけれども、その向こうには人や社会に貢献することが企業のある意味で大きな役割と思いますので、しっかりと実行に移して、国民から信用され、納得のいく制度を生み出して、低廉化を生み出していただきたいと考えています。

 市場経済を重んじる資本主義国家である日本の電波行政トップとは思えぬ言葉が武田氏の口から次々に飛び出す。まず、携帯電話料金は認可制ではないため、あくまでも携帯電話事業者の裁量にゆだねられている。にもかかわらず、「公共性の高い事業として、国民に対してどういうサービスを提供しなければいけないのかぐらいは、常識で考えてわかる」「自分の判断で正しい道を歩んでいただきたい」と自主的に値下げするよう、露骨に圧力をかけるのは恫喝以外の何物でもない。なお、上に挙げた質問の直前のやりとりでは「しっかりと誠意を見せて、改める努力をしてもらう」とヤクザばりの「誠意」という文言も使っている。

 民間企業の立場からすると、稼ぎ頭であるメインブランドの料金改定は株主の利益に直結するため、合理的な理由が必要になる。携帯大手キャリア幹部は「勝手に料金を値下げした場合、株主から訴訟を受ける可能性が非常に高い」とリスクを警戒するのも当然だ。企業社会の常識を何も理解できていないからこそできる蛮行だと言うべきだろう。

菅・武田こそ電波を私的利用してる

 そもそも、ソフトバンクは12月から、KDDIは来年2月からサブブランドのサービスを開始するわけで、サービスを始めてまともな検証もしないうちから文句をつけること自体おかしい。この背景には、菅義偉首相が思ったよりサブブランドのプランに対する世間の評判が芳しくないことによる焦りがある。「桜を見る会への追及が強まるにつれて、とりあえず支持率を稼げるところで稼いでおきたいと考え、携帯料金値下げで成果を上げようとスピードアップを武田氏に要求した」(全国紙政治部記者)というのが本音だろう。

 もともと料金プランのことなど大して理解していない菅氏と武田氏の「恫喝コンビ」である。菅氏お得意の電波の許認可権をチラつかせた恫喝と、武田氏の「誠意を見せろ」「常識」「人として正しい道」というヤクザ張りの脅し文句で携帯電話会社がなびくと考えたのであろう。正直言って、相手の都合を何も考えない社会人として恥ずかしいレベルの発想だ。菅・武田両氏が「電波は国民の財産なのに携帯会社は不当に利益を上げている」と主張しているが、電波を支持率向上や実績作りのために私的利用しているのは自分たちではないのか。

 この高橋氏の反論記事にもある通り、外国投資家から日本はどうなっているのかと疑問視されているというのも納得だ。筆者が外国人なら政府が企業を恫喝して利益を吐き出させようとするような国は間違ってもカタギの国ではないと感じるだろう。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

武田総務相、支離滅裂の“醜態”会見…「料金下げてから来い」と携帯会社や記者を恫喝の画像2●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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武田総務相、支離滅裂の“醜態”会見…「料金下げてから来い」と携帯会社や記者を恫喝の画像3

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