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黒川智生の「アパレル、あばれる」

アパレル業界の裏側…“今年のトレンド”はどのように“つくられて”いるのか?

文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員
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ルームウェア(部屋着)で新しい提案をしたいというお客様が増えています」と語るのは、この展示会全体を構想した責任者。この分野はステイホームやテレワークの増加で、その素材やデザインの多様性が求められている。言い方を変えれば、新しいのを買ってもいいなぁとお客様が密かに思っているところである。今人気のモコモコ素材の新しいデザインやワンマイルウェアという、部屋のみならずコンビニへ買い物に行く時にも着ることができる一着も提案して、各ブランド商品担当者からの知恵を含み、製品化に至るという。

アパレル業界の裏側…“今年のトレンド”はどのように“つくられて”いるのか?の画像3
筆者撮影

 別のコーナーでは、「MARU DE」という括り方で麻のように見える素材、サンプルの提案を行っていた。麻は夏からの素材でだいぶ先のものだが、皺になりやすいなど扱いが難しい。一方、その涼しげな感じが好きというお客様が多いものだ。今回の展示会では素材を工夫しながら、手軽に楽しんでもらえるサンプルを数多く提案している。

 その他も多くの提案があって、ブランド担当者との活発な商談が進んでいた。今回の展示会全体テーマは「フライイング ファンクション(機能を超える)」とのことで、商品における機能性と価格パフォーマンスが強く求められる昨今、それを前提として、さらにどんな価値をつくれるか、挑戦しているという。

 繊維商社の展示会というと、従来では「どこかで見たことがあるベーシックなデザインが並ぶ」という印象が強かったが、これは変わっているようで、“固有の強み”を活かして、超えようとしているようだ。

 多くのブランドでは、現在でも「前年対比売上」「仕入れに対する売上割合(消化率)」に忙殺され、「何かを止めて何かを加える、そのためにいくつかの挑戦を行う」ということを忘れている。というか、コロナ禍で先が見えないなかで、「余計な動き」といわれたくないという感情が強まっている。

 しかし、その結果生まれるのは「昨年と同じ売場」であって、お客様から見るとまったく変化がない。毎年毎月、新たな試みを加えてお客様を迎える、そこに担当者やその仕入先の個性を出せたらと願い、引き続き現場を歩いていきたい。

(文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員)

●黒川智生

VMIパートナーズ合同会社代表社員。1988年國學院大學文学部史学科卒。(株)ワールドにてアパレル&雑貨ブランド業務を担う。2006年3月独立。東アジアのファッションブランドを主な対象として「BRANDING」「MERCHANDISING」「LOGISTICS」の分野で事業戦略構築&実施を支援している。一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFIビジネススクール)と文化服装学院では、各種クラスで講師を担当。

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