山口組分裂騒動は来年も続くのか? 抗争終結の条件と神戸山口組の行く末の画像1
去年は開催された神戸山口組の納会。今年はどうなるのか

 2015年の夏。まだ、うだるような暑さが続く中で、突如として、日本最大暴力団組織として知られる山口組が分裂するという空前絶後の事態が発生。事実上、分裂が決定的となったのは、同年8月27日。六代目山口組を離脱した親分衆により、神戸山口組が発足された日ということになるだろう。

 山口組100年の歴史を顧みても、山口組を割って出て、その後、今日まで存続している事例は皆無であった。それだけに山口組を割るということは、相当な覚悟が必要とされることを誰しもが想像できた。ましてや、ヤクザの根底的概念となる“盃に叛く”のである。想定外の事態に見舞われることも視野に入れておく必要もあったことになる。そんな中で、神戸山口組に参画したそうそうたる親分たちは、自分たちの信じる道を貫くことで、組織を維持し、生き残ることができると考えていたはずだ。

 しかし、それから5年。現在の神戸山口組のここまでの劣勢を、誰が想像することができただろうか。

 まず、山口組分裂直後、マスメディアの脚光を浴び続けた、当時の神戸山口組若頭代行だった織田絆誠・現絆會会長が2017年に離脱。そして、今年に入り、中核団体である五代目山健組までもが神戸山口組を後にしたのだ。

 神戸山口組の衰退はそれだけにとどまらない。同組を立ち上げた中心人物として、六代目山口組から、ヤクザ社会でもっとも重い処分といわれる絶縁処分を受けた5人の親分衆のうち、池田組の池田孝志組長が神戸山口組を離脱、さらに正木組の正木年男組長が引退し、率いていた組織を解散させたのだ。その間も六代目山口組サイドによる神戸山口組に向けた攻撃は続き、組員は次々に切り崩され、多くの勢力が六代目山口組サイドへと復帰を果たすことになった。

 「昨年末の段階で、六代目陣営は約8900人、神戸陣営は約3000人なんていう発表があったが、当局による組員数の発表ははっきりいってあてにならない。組織が大きければ大きくなるだけ、組員自身ですら、自ら所属する組織の組員数なんてわからないのに、なぜ外部の人間が把握することができるのか。時折、組織によって組員数を確認するために集計を図ることもあるが、それも厳密にいえば確かな数字とはならない。なぜならば、同じ組員でも個々によって事情が異なり、活動内容を踏まえて、あえて組員として登録しないケースもあるからだ。構成員と準構成員の数となればなおさらのことで、その境界線は当局が一方的に判断しており、どういった基準によるものか、我々にすらわからない。ただ神戸山口組の発足当初、勢いといった面でいえば、六代目山口組の勢力に追いつくのではないか、と業界関係者内で噂された時期はあった」(業界関係者)

 確かにこの関係者が話すように、結成直後の神戸山口組の勢いは、同組により多くのスポットを当てたメディアの報道も後押しされ、早晩、六代目山口組に対峙する勢力になるのではと思われる空気があった。だが、六代目山口組サイドによる、武力を用いた相次ぐ実力行使により、六代目山口組と神戸山口組の勢力の差は、次第に大きな開きを見せることになっていくのだった。そして、昨年秋の六代目山口組・髙山清司若頭の社会復帰。これを機に、分裂問題に終止符を打たれるのではないかと思われるほど、六代目山口組サイドが大きな動きを見せたのだ。

 「たった1人が社会復帰するだけで、こうまで状況が一変するのかと誰もが驚くほど、髙山若頭の出所前と出所後では状況が変わり、神戸山口組が大きく揺さぶられました。それは傘下組織の組員にまで伝播し、六代目山口組の中核団体であり、髙山若頭の出身母体である弘道会系傘下に移籍する組員が続出しました。神戸山口組のここからの巻き返しは不可能に近いのではないでしょうか」(山口組分裂問題を取材する記者)

 それでも神戸山口組は解散したわけではない。すなわち、分裂問題は解決されていないのだ。それは、突き詰めれば神戸山口組・井上邦雄組長の意思によるものが大きいと言えるのではないか。

 「神戸山口組を存続させるも解散させるも、決断するのは井上組長となってくる。井上組長が引退し、組を解散させない以上は、どれだけ勢力が衰退しようが、分裂状態に終止符は打たれないし、それは同時に六代目山口組サイドによる神戸山口組への攻撃が続けられることとイコールになってしまう。そうした抗争状態が長引けば、山口組だけの問題ではなく、ヤクザ全体を取り締まる法律のさらなる厳罰化に繋がりかねない。また、盃を返して処分された者がヤクザを続けられるという前例ができてしまうことは、ヤクザ社会独自の概念を覆すことになってしまう。そのため、こうした状況をよしとしない山口組以外の他団体も、神戸山口組に対してなんからの動きを見せるのではないかと言われていた。しかし、それもうまく行かなかったのではないかと業界内では囁かれている」(某組幹部)

 では今後、神戸山口組はどうなっていくのか。このまま衰退の一途を辿りながらも、なんとか存続していくのだろうか。ある事情通はこう指摘する。

「六代目サイドは、神戸山口組を認めていない。山口組の名称と菱の代紋を掲げる限り、徹底して神戸山口組を攻め続けるのではないか。神戸山口組が、その山口組の象徴を下ろす時が、分裂問題に終止符が打たれる時だろう」

 現在、抗争にまつわる事件を起こせば、その組員は長期の社会不在を余儀なくされることとなる。そこには、再び社会の地を踏めないという可能性も宿されている。それでも六代目山口組系傘下の組員は、躊躇なく神戸山口組を攻め続けていくだろうし、今後もその姿勢は変わらないだろうと、この事情通はいうのだ。

 そうした組織力の違いが、現在の両組織の現状を表しているのかもしれない。
(文=山口組問題特別取材班)

RANKING
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合