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丸の内の三菱村がTOBで転売屋に乗っ取られる?日本に敵対的企業買収がなじまないワケ

文=菊地浩之
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ハイリスク・ハイリターンな、恐怖のジャンクボンド(クズ債)

 最近はそうでもないかもしれないが、日本で「会社」といえば人生そのものであり、だから会社を売り買いするTOBは嫌悪された。しかし、そんな風土のないアメリカでは、会社もまた売買の対象となる商品のひとつである。だから、TOBもダイナミックだ。

 ジャンクボンドという滅茶苦茶な手法がある。

 現在、日本のメガバンクの普通預金の金利は0.001%である。たとえば、1000億円でXX株式会社を買収すると考えて、その資金調達のために金利10%の債券を発行する。そりゃあ、申込が殺到するよね。でも、1000億円まで集まるかどうかはわからない。運良く1000億円集まったら、そのカネでXX社を買収して資産をすべて売却する。売値が1100億円以上だったら利益が出る。でも、1000億円集まらなかったら買収は失敗。「売り上げが立たないのでパーです」でお終いである。その瞬間、その債券は単なる紙切れとなる。高い金利はハイリスク、ハイリターンだから。まさにジャンクボンド(クズ債)である。

 このTOB手法は、買収した企業の事業継続を前提としていないところが特徴である。そんな手法は日本の文化にはなじまない。だから実現しないだろう――とは言い切れないところが、現代ニッポンのコワいところだ。

(文=菊地浩之)

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●菊地浩之(きくち・ひろゆき)
1963年、北海道札幌市に生まれる。小学6年生の時に「系図マニア」となり、勉強そっちのけで系図に没頭。1982年に國學院大學経済学部に進学、歴史系サークルに入り浸る。1986年に同大同学部を卒業、ソフトウェア会社に入社。2005年、『企業集団の形成と解体』で國學院大學から経済学博士号を授与される。著者に、『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書、2009年)、『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』(角川選書、2017年)、『織田家臣団の系図』(角川新書、2019年)など多数。

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