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ケースで見る!「働くハイスペック女子」への処方箋

夫は変貌し怒鳴り散らし、妻は精神に変調…親子3人家族が在宅勤務で壊れ始めた理由

文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表
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 一方、夫も仕事をしながらも勉強を教えたり、食事をさせたりと、妻が忙しいときは娘の世話を手伝うようになって当初は助かっていた。しかし、数カ月と続くうちに段々と夫の様子が変わってきたのです。先日もすでに登園が始まっていた娘を保育園に迎えに行ってくれたのですが、泣きながら家に帰ってきた娘が言うには、夫が髪を引っ張ったり、腕をつかんで押し倒したとのこと。

 夫に問いただすと、娘がコンビニに行くと言い張って、自分の言うことを聞かないから少し叩いただけだというのです。もともと温厚で、外では「いい人」タイプなのですが、最近家ではイライラしている様子で文句ばかり言っています。娘をちょっとしたことで叱り、家の中が汚いとか、果てには怒鳴り散らすようになってきました。

 自分のテレワークで昼間は仕事の合間に洗濯、掃除をし、夕食だけでなく昼食まで夫には期待されているため、朝からその準備に追われる毎日。娘が寝る9時頃にやっと一段落して、ようやくその後、昼間集中できなかった仕事をやることになるのです。

 そんな生活をしているうちに、仕事のミスを指摘されることが増えてきました。最初は家にいるせいで仕事に集中できていないからでしたが、段々ミスの仕方が変だとも言われるようになったのです。どう考えても今まではしなかったようなミスです。 

 自分でも頭が回っていないし、このままどうなるのか漠然とした不安までが襲ってくるようになりました。「このままでは仕事も回らなくなる……」。そんなふうに感じているなか、隣で夫は娘を怒鳴り散らしている。

 夫が自粛により在宅でイライラし、アンガーマネージメントができない、という相談は多々あります。慣れない子育てやテレワークでイライラする「夫のメンタルヘルス」も課題と言えるでしょう。

「ステイホーム」は、今まで以上に家族の時間を「密に」過ごせるという利点があったものの、場合によっては、もともと「疎な」家族で夫の在宅時間が短い中で保っていたバランスを崩すきっかけにもなったともいえるのです。

(文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表)

夫は変貌し怒鳴り散らし、妻は精神に変調…親子3人家族が在宅勤務で壊れ始めた理由の画像2山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。

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