
新型コロナウイルスの再流行を受け、12月28日から来年の1月11日まで全国一律で一時停止されることとなった政府のGo To トラベルキャンペーン。14日に急転直下この決定がなされてからも、「もっと早く決定すべきだった」と菅義偉首相を批判する声は大きいが、その裏で、このキャンペーンにまつわる、ある“仕様変更”が行われていたことをご存じだろうか?
それは、ネット系大手旅行販売サイトのYahoo!トラベルが行った、地域共通クーポンの「発行方法」の変更。12月16日以降のチェックイン・出発の予約について、従来は「電子クーポン」として提供されていた地域共通クーポンが、「紙クーポン」での発行へと切り替えられたのだ。同時に、また、一休.comやReluxなどの他の販売サイトも、同じく16日分から紙に切り替えることを発表している。

宿泊施設にチェックインしなくとも取得できる「電子クーポン」で詐欺的不正取得が問題化
そもそも「旅行代金が半額になる」というイメージのGo to トラベルキャンペーンだが、実際には旅行代金の最大35%分は販売価格から直接割引されるのに対し、残りの15%分は地域共通クーポンとして付与され、結果として代金が半額になるわけだ。
旅行代金の15%分に当たるこの地域共通クーポンは、旅行期間中に限り、旅行先の都道府県ないし隣接する都道府県内に所在する登録店舗において使用が可能な商品券で、電子クーポンの場合は旅行業者より(つまりはYahoo!トラベルなどのサイト上で)、紙クーポンの場合は訪れた宿泊先施設から直接配布されるシステム。電子クーポンなのか紙なのかは旅行業者によって異なり、Yahoo!トラベルや一休.comは電子、楽天やじゃらんは紙、JTBなどはインターネット予約の場合は電子、実店舗での予約は紙などとなっていた。
しかし、地域共通クーポンはコンビニやドラッグストア、飲食店など多くの店舗で使用することができる非常に便利なものであり、さらに当初電子クーポンは、なんと宿泊施設に実際にチェックインしなくても、宿泊日の15時以降に予約番号を入力すると受け取れる仕組みとなっていたため、不正取得が多発。宿泊を無断キャンセルした上で、クーポンの利用だけを行うという詐欺的行為が全国で見られ、11月29日には逮捕者まで出てしまう。およそ54万円分の電子クーポンを詐取した容疑で、神奈川県在住の男が警視庁に逮捕されたのだ。
こうした不正に対応するため、所轄官庁の観光庁は11月25日より、クーポンの利用にはSNS認証を必要とする防止策を導入。しかしその後も、関西の宿泊施設で連泊予約をキャンセルし約7万円のクーポン不正利用が行われたことが報じられるなど、根本的な問題の解決には至っていなかった。
