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藤和彦「日本と世界の先を読む」

18日の伊豆大島近海の地震、首都直下地震の前兆か…伊豆半島の津波対策、議論されず

文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員
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 以上が熱移送説の概略だが、首都圏に達するMJルートについて角田氏は、西之島(東京の南方約930kmにある火山島、MJルート上に位置する)の噴火活動に注目している。西之島の火山活動を引き起こす熱エネルギーが北上し、首都圏に到達するからである。

 西之島は2013年の大噴火で面積が2倍以上になり話題となったが、その後も15年、17年から今年にかけて断続的な噴火を繰り返している。このことは熱エネルギーが首都圏に継続的に到達していることを意味するが、千葉県東方沖では18年7月7日にマグニチュード6.0(最大震度5弱)、20年1月3日にマグニチュード5.9(最大震度4)、同6月25日にマグニチュード6.1(最大震度5弱)の地震が相次いで発生している。

 首都圏に流れ込んでいる熱エネルギーにより千葉県東方沖や茨城県などで比較的大きな地震が多発しているのに対し、伊豆半島周辺では19年6月24日にマグニチュード4.1の地震が発生した程度である。熱エネルギーの放出が進んでおらず、今後大規模な地震が発生するリスクが高まっているのではないだろうか。

「伊豆大震災」の教訓

 12月18日に発生した伊豆大島近海の地震について角田氏に尋ねたところ、「西之島の活動が低調になっていることなどから、伊豆半島周辺で近い将来大規模な地震が発生する可能性は低い」とのことだったが、油断は禁物である。

 伊豆半島周辺では、前述の関東大震災後にも1930年に北伊豆地震(マグニチュード7.3,死者・行方不明者272人)、1978年に伊豆半島近海地震(マグニチュード7.0、死者・行方不明者26人)が発生している。特に北伊豆地震では、震源に近い静岡県三島市で震度6を観測し、地震断層が掘削中のトンネルを塞いでしまうほどの被害を伊豆半島地域にもたらした。地元では「伊豆大震災」と呼ばれている。北伊豆地震の場合、発生までの約半年間周辺で群発地震が起きていたことから、今後伊豆半島周辺で地震が多発するようになれば、要警戒である。

 北伊豆地震クラスの地震が発生すれば、この地域を通過する東海道新幹線や東名高速道路などで甚大な被害が発生する可能性が高い。南海トラフ巨大地震の発生に備えて西日本の太平洋沿岸では津波対策が議論されているものの、伊豆半島周辺の津波対策は議論の俎上にすら上っていないのが現状である。

 阪神・淡路大震災が発生するまで「神戸では大きな地震が起きない」と妄信されていたように、伊豆半島周辺についてはまったくと言ってよいほど問題視されていないが、はたして大丈夫だろうか。大規模地震の発生を予測することで世の中をいたずらに騒がせるつもりは毛頭ないが、「備えあれば憂いなし」との願いから、拙稿をしたためた次第である。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

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