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木村隆志「現代放送のミカタ」

『この恋あたためますか』恋愛ドラマの王道貫き見事な巻き返し…『恋つづ』との明確な違い

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト

 次に2つ目の理由は、舞台のスケール感を大きくしすぎたこと。ある病院内の物語だった『恋はつづくよどこまでも』に対して、当作の舞台はコンビニチェーンと各段にスケールアップしている。また、ヒロインの相手役は勤務医からコンビニチェーンの社長に格上げ。これによって、普通の女性であるヒロインとの格差はさらに広がった。たとえば、「看護師と勤務医」「フリーターと社長」の2つを比べれば、後者は恋に発展するにはかなり遠い関係性であることがわかるはずだ。

「クリスマスの最終話」という王道

 第7話あたりから、樹木、浅羽、里保、新谷の恋が大きく動き始めたことで、視聴者に「誰と誰が結ばれるか」「どちらを選ぶのか」「私は○○を応援したい」などと思わせる恋愛ドラマ本来の盛り上がりが生まれた。

「好きな人の幸せを願う純粋な思い」「好きな人が離れていかないか不安な気持ち」「好きな人の気持ちが自分にはないことに気づかされるつらさ」「好きな人のために身を引く決意」などの感情を丁寧に描いた脚本も冴え渡り始めている。

 このような4者4様の思いを描く四角関係は、昭和の頃から続く恋愛ドラマの王道。誰かに感情移入することも、穏やかな目で見守ることもできる普遍的な人間模様のため、登場人物と同じ20~30代だけでなく、上下の世代も楽しめる。しかし、当作には『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)の関口さとみ(有森也実)のようなヒール役はいない。4人とも応援したくなるようなキャラクターなのが時流に合っているのではないか。

 12月22日に放送される最終話のキャッチコピーは、「彼らに訪れる奇跡のクリスマス」。「樹木はもちろん、浅羽、里保、新谷の4人が誰とどんなクリスマスを過ごすのか」が焦点となっているのだ。「クリスマス近くに最終話が放送され、しかも劇中のクライマックスでもクリスマス」という編成と構成は、これも昭和後期から平成初期によく見られた恋愛ドラマの王道であり、おのずと期待感は高まっていく。

求められているのはハッピーエンドだけ

 視聴者たちが『この恋あたためますか』、引いては『火曜ドラマ』に求めているのはハッピーエンドだろう。やはり樹木と浅羽が結ばれ、さらに里保と新谷も前を向いて歩き始める姿で締めくくるのではないか。裏を返せば、それくらいの明るさがなければ、コロナ禍の重苦しいムードを吹き飛ばすことはできないだろう。

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17:30更新
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