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楽天、西友買収でスーパー事業参入は「携帯電話事業の成功より難しい」…アマゾンと激突

文=編集部
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 ウォルマートの米国本社は早くから西友に見切りをつけていた。18年に売却に動いたが「3000億円以上といわれた売却額が高すぎ、どこも手を挙げなかった」と流通グループのトップは語る。ウォルマートは「経営再建して株式を上場」へと軌道修正を試みたが、結局うまく行かず、今回の事実上の撤退となった。

アマゾンやイオンもネットスーパーに注力

 楽天は18年、ウォルマートと日本のEC(電子商取引)で提携し、同年秋に西友とネットスーパー事業を始めた。楽天西友ネットスーパーは、まだ赤字だが、コロナ禍で外出を控える動きが広がったことから、7~9月の売上高は前年同期比36%増、10月は55%増と大きく伸びた。事業拡大に向け21年、横浜市内でネットスーパー専用の物流施設を稼働させる予定だ。

「生鮮を含む商品のカテゴリーは日本の小売市場の半分を占めるが、EC化比率はまだ低い。この分野を取り込む」と楽天の小森紀昭執行役員(楽天西友ネットスーパー社長)は目論む。今回の西友買収の発表で楽天の株価はほとんど動かなかった。「西友への出資は18年の提携段階で、ある程度予想できた。出資額も小さくサプライズがなかった」(同)。

 楽天が20%の出資比率を引き上げることも株式市場は織り込み済み。「楽天が西友を連結子会社にするという決断でもすれば状況は大きく変わるが、現時点ではお手並み拝見の域を出ない」(前出のアナリスト)。

 今回のM&Aにあたり西友の企業価値は1725億円(約16億ドル)と試算された。単純計算になるが楽天は西友の株式取得に345億円を投じることになる。

 今後の段取りはどうなるのか。楽天は21年1月、新設する子会社「楽天DXソリューション」(東京・世田谷区)を通じて西友の株式を取得する。楽天DXソリューションは西友以外の小売業に対してもDX支援を行う。AI(人工知能)による需要予測を活用した在庫管理や価格設定の最適化、スマートフォンなどによるレジなし決済の導入などを予定している。

 世界規模の投資ファンド、KKRが日本で小売に投資するのは初めてだ。米国で100円ショップ、中国では生鮮食品と日用品のEC企業に投資している。KKRは「西友の低価格路線は維持する」としている。新たな経営トップには日本人で小売業界の経験者を据えたい考えだ。

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17:30更新
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