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東京ヴェルディ、資金ショート・解体の危機…スポンサー「ゼビオ」、スクール事業譲渡を要求

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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 ところがコロナ禍のなかで来年1月までに運転資金が底をつく可能性が出てきたことから、羽生氏たちは資金調達の必要性に迫られ、ゼビオにも追加出資の要請をしたが相手にされず。そこで羽生氏は新しい出資先を見つけてきたものの、これにゼビオが猛反対。逆に新株予約権をすべて実行したうえで、ゼビオが派遣する取締役以外を全員辞任させ、その取締役たちが持つヴェルディ株式を1円で買い上げて株主から排除するという条件を提示した。

 これに対して、現経営陣は、ゼビオがすべての新株予約権を行使すればゼビオの子会社となり、経営責任の所在が明確になるため、現状よりもヴェルディのためになると一度は了承した。しかし、ゼビオは自らの提案を反故にした。

「ゼビオは新株予約権を全部ではなく一部だけ行使して8800万円の資金を出資したそうです。ただ、ヴェルディは今期末で5億円程度の債務超過が見込まれていて、それだけでは根本的な対処にならない。羽生社長はクラウドファンディングで支援を呼び掛けていますが、思うように集まらない。

 そこでゼビオから出された案として、ヴェルディの数少ない収益事業であるスクール事業を5億円で譲渡することを要求してきたのです。さらにその後は、クラブ運営は大幅なコストカットを行うことまで示唆してきたのです。これだと一時しのぎはできても先々ヴェルディの収益基盤はもっと悪化して経営の安定化どころではないですし、当然、有力選手の放出なども懸念されます」(事情に詳しい東京ヴェルディサポーター)

 大幅なコストカットなどすれば、クラブの若手の中心選手の放出も避けられないし、日本代表選手を抱える女子チームにも大きな波紋が広がる。これは事実上の東京ヴェルディの解体を意味する。

 すでにゼビオは新株予約権を行使し、11%の株式を取得。ゼビオと共闘関係にある筆頭株主のアマダナ(約22%)を加えると会社提案(現経営陣の増資案)を阻止するための3分の1を手にしたことになるという。

 Jリーグの村井満チェアマンとの太いパイプを持つゼビオは、筆頭株主アマダナとともに、ヴェルディの命運を握っている状況だ。

 ゼビオは本誌の取材に対して「答えることは何もできない」と回答している。ヴェルディは27日に臨時株主総会を開催し、株主に増資案を諮ることを決定した。果たして27日の株主総会ではどのような結果になるのか、目が離せない。

松崎隆司/経済ジャーナリスト

松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)、「堤清二と昭和の大物」(光文社)、「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。

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