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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

【宝くじの闇・下】社会的弱者から搾取する“税金”…コロナ禍にネットで若者を賭博に勧誘

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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「『夢』という名のごちそうをぶらさげ、たまに当たった人を大げさに宣伝し、しかし実態として、ほとんどの一生涯当たらない人が払いつづける余分な税金だと言って間違いではないだろう。しかもより多くを払うのは、社会的弱者なのである」

 まったくの正論だろうと思う。実際、宝くじ協会の調査ではジャンボ購入の理由は「賞金目当て」が71%で、「夢がある」は60%だ。この論文から見えてくるのは、1億だの10億だのと喧伝しておきながら、カネを払い続ける人の多くは非高所得者だという事実である。この論文が書かれたのは02年で約20年前だが、当時より日本の格差が拡大、固定化した現在のほうが実態は悪くなっているとみられる。コロナで失業が増えれば当然「300円の紙切れに夢を託そう」という気持ちも強まる。未来のある若者ならなおさらだろう。

 総務省などは若者に新規開拓のターゲットを絞っており、今年の年末ジャンボから1万円の当たりを増やしてカモを育て、今後はコンビニ販売を始めることで、さらなる生き血をすすろうとしている。CMに若手人気俳優を起用するなどPRを始めているが、「買わないという選択肢はない」とタレントに言わせ、賭博を露骨に勧誘するなど倫理観にもとると言わざるを得ない。

宝くじは廃止が決まっていた

 連載第1回でもご紹介したが、現在の地方自治体の収益になる宝くじは第二次世界大戦での敗戦直後に誕生した。根拠法は「当せん金付証票法」で、第1条に「経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする」と定められている。つまり、税務署が把握しにくい家庭のタンス預金である「浮動購買力」を「当分の間」、吸収するためのものであり、仕組みがつくられた当時は長続きさせる予定は政府当局にもなく、あくまで臨時の措置だったのである。さらに、1954年2月12日に吉田茂内閣は「将来、適当な機会においてなるべく早く全廃することを目途として運営すべきものとする」と閣議決定している。

 ここから浮かび上がってくるのは、一度宝くじの収益や関連のポストという利権を得た総務省や地方自治体、第一勧銀を前身とするみずほ銀行がなんだかんだと廃止を先延ばしにしてきたという事実である。筆者は、公営ギャンブル自体の是非はともかくとして、社会的弱者から余分な税金を巻き上げ、不透明な販売ルートでさばき、自分たちの天下り先への過剰な人件費と待遇を確保しようとする、現在の宝くじのあり方には大いに疑問を感じる。

 少なくとも、顧客への還元率を高めることや、カネの流れをはっきりさせることなどの措置が必要だろう。それをやらないなら、とっとと閣議決定に従い、即刻廃止すべきである。

 こんなおかしな仕組みの宝くじ、アナタはまだ買いますか?

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

【宝くじの闇・下】社会的弱者から搾取する“税金”…コロナ禍にネットで若者を賭博に勧誘の画像1●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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