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成馬零一「ドラマ探訪記」

Netflix『今際の国のアリス』が感慨深いほど秀逸な理由…テレビドラマとは違う最大の強み

文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家
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今際の国のアリス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト」より

 12月10日からNetflixで配信されている連続ドラマ『今際の国のアリス』は、麻生羽呂が「週刊少年サンデーS」(小学館)と「週刊少年サンデー」(同)で連載していた少年漫画を実写化したサバイバルドラマだ。

 落ちこぼれの青年・有栖良平(山崎賢人)は、友人の苅部大吉(町田啓太)、勢川張太(森永悠希)と共に渋谷でつるんでいたが、警察から逃げるために渋谷駅のトイレに隠れた後、外に出ると町から人が消えていた。

 無人の東京をうろつく3人。夜になると、ビルの巨大モニターに「ようこそ プレイヤーのみなさま まもなく【GAME】を開始します」と表示される。明かりのついた建物の中に3人が入ると、携帯電話が置かれている。その後、大人の女性と女子高生が現れ、携帯を手に取ると「エントリーを締め切りました。“げぇむ”を開始します」と合成音声が流れる。

 ゲームのタイトルは「生きるか死ぬか」。ビルの部屋にある「生」と「死」と書かれた2つの扉のどちらかを選択し、間違った扉を選ぶとレーザーに撃ち抜かれるという命をかけた2択。選択を誤った女子高生が死んだ後、4人は第一の扉を選択、運に任せて突き進めば、いずれは命を落とすという極限状態の中、有栖はげぇむの攻略法を思いつく。

 謎の空間と化した東京を舞台に、有栖たちはさまざまなゲームに挑戦する。げぇむはそれぞれトランプのカードの数字に応じた難易度があり、最初に彼らが挑戦したゲームの難易度は「クラブの3」。マンションで行われる殺人鬼との鬼ごっこや、トンネルの中で行われるマラソンといったげぇむに挑みながら、有栖は、謎の世界で謎のゲームを仕掛けてくる敵との戦いに巻き込まれていく。

『今際の国のアリス』が秀逸な理由とは

 本作は2000年に映画化された『バトル・ロワイアル』以降、漫画やアニメで何度も繰り返されてきたデス・ゲームモノの一種で、限定された空間に閉じ込められたプレイヤーたちが脱出方法を摸索しながら時に共闘し、時に対立する心理サスペンスが主軸となっている。

 全話の監督を務める佐藤信介はデス・ゲームモノの傑作『GANTZ』の映画2部作を手がけており、昨年は山崎賢人主演の映画『キングダム』がヒットした、国内で大作アクション映画が撮れる数少ない映画監督だ。制作会社のROBOTも、CGを駆使したアクション大作を得意としている。

 実績のある映像チームが、予算が豊潤で残虐描写等の表現に対する規制が緩いNetflixで作品を手がけるのだから、ある程度のクオリティは予測していたが、でき上がった作品を観て、日本でもついにこういうドラマがつくれるようになったのかと、感慨深かった。

 最初に惹きつけられたのが、荒廃した東京の町並み。渋谷のスクランブル交差点は足利市に再現されたセットで撮影したもので、ビルはグリーンバックで覆われており、外観はCGで加工されている。

 映画やドラマの東京でのロケは、許可取りが難しい。特にカーチェイス等の大規模アクションは、ハリウッド映画でもなかなか許可が出ないことで有名なのだが、そういった制約を本作は多彩なアイデアと豊潤な予算によってクリアしている。

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