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帰省前に人気殺到、民間PCR検査サービスを受けてみた…2900円、たった5分で終了

文=編集部
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「Getty images」より

 新型コロナウイルスのPCR検査が格安で受けられる民間サービスが東京都内で相次いで開始され、大きな注目を集めている。年末年始の帰省前などに「少しでも感染拡大の可能性を低減したい」との思いから、多くの予約が殺到しているという。

 一方、厚生労働省や大手メディアは、こうしたサービスには陽性判定が出ても都道府県への届け出義務がない点や、施設の感染対策や検査精度のばらつきなどについて懸念があると指摘している。果たして、実際どうなのか。受診者に話を聞いた。

検査時間は5分、結果は翌日メールで

 12月25日、東京都内の施設で民間のPCR検査サービスを受けた30代男性会社員は次のように語る。

「帰省するのにあたって、少しでも感染対策をしたいと思って受けました。予約は、あとから考えればギリギリのタイミングだったようで、とりあえず自分の分だけ予約した後、家族の分も受けようとしたらしたら、すでに予約できない状況でした。

 Twitterなどでは検査会場に行列ができている様子の写真がたくさんアップされていて、混んでいたら嫌だなと思っていたのですが、実際はそうではありませんでした。

 予約時間の20分前ほどに着いてしまったのですが、会場の受診者は4~5人くらいでした。予約時間前でしたが、スムーズに受付してもらい、5分程度で検査は終わりました。受付は3ブース、案内係を含めて4人くらいスタッフがいました。いずれも、きびきびした動作で、ぎこちなさはなく、よく訓練されているように見えました。ちなみに会場に入る際の検温や発熱などの症状を聞く問診はありませんでした。

 パーテーションで区切られたカウンターがあり、壁にはすぐ唾液が出るようにレモンと梅干しの写真が貼ってありました。唾液を自分でプラスチック容器に入れ、ビニール袋に入れ、受付に提出して検査は終了です。翌日に検査結果がメールで届くと説明がありました。

 費用は2900円(税抜き)で支払いはPayPayかカード払いで現金は不可で、スムーズでした」

 ちなみに男性が受診したサービスは、医療法人が監修しているという。

店舗来店型の検査だと検査会場で感染の懸念?

 一方、厚生労働省関係者はこうした民間PCR検査に渋い顔で次のように語る。

「カタログスペックでは、このPCR検査は国立感染症研究所の検査法と陽性一致率及び陰性一致率ともに100%となっています。保健所の指導の下、受ける検査と大きな差は出ないとは思います。つまり、どうしても偽陽性、偽陰性の誤差が出ます。

 それに検査会場を設置する店舗来店型の検査ですと、医療機関で受診するのと違い、どうしても検査に携わるスタッフの質の問題や、会場に来る受診者間での感染防止に不安が残ります。例えば、コロナ対策の拠点病院では、空港や国会などで使用しているサーモグラフィー装置を使用し、往来する人全員の発熱の有無を監視しています。検査は一般患者から完全に隔離された状況で実施するので、受診者同士で感染が広がることも防ぐことができるシステムになっています。

 民間のPCR検査では、検査受診の資格が『自覚症状が無いこと』と定められているものもありますが、各個人の自己申告にすぎません。実際に発熱症状や咳などの症状が出ている人が検査会場に来るのを防ぐ手立てはなく、そこで新たな感染者が発生する可能性を否定できません」

駅前に立っているスタッフに検体を渡すシステムも?

 だが、民間検査は必ずしも店舗来店型のシステムだけではないようだ。前出の検査を受診した男性は次のように語る。

「実は家族は別のPCR検査サービスを受けました。1万8000円と割高でしたが、検査方法が面白かったです。駅前に『赤い帽子をかぶったスタッフがいるので、そのスタッフから検査キットを受け取り、その場で唾液と取って渡すか、帰宅後に採取して渡す』というシステムでした。

 いずれにしても、民間がここまで工夫してスムーズな検査体制を構築しているのに、政府は今まで何やっていたんだろうという疑問は消えません。春先くらいからこういうシステムが整備されていれば、飲食店の従業員の方々にも検査が行き渡っていたでしょうし、そうなればここまで感染拡大が進むことがなかったのではないかと思います」

 東京都内の大学附属病院所属の医師は語る。

「検査で一定数の偽陽性、偽陰性が出る可能性は当初から予測されていたことです。病院でのPCR検査は確かに個別隔離を徹底して実施しますが、それでも院内感染を完全に防げるというわけではありません。

 いずれにせよ、厚生労働省や専門研究者らがPCR推進派とPCR検査拡大反対派に分かれて議論に熱中している間に貴重な時間が失われたことは間違いありません。効率的に感染拡大をどう防ぎ、医療現場の人員体制をどうやり繰りするのかという点や、国民の不安感の払しょくという観点が置き去りになってきた感はありますね。

 感染症は陽性者から陰性者を引き離さなければ解決は見込めない病気です。政府も、既存の制度や自分たちの権限に固執するのではなく、PCR検査の柔軟な展開が求められる時期に差し掛かっているといます」

 民間PCR検査はまだ始まったばかりだ。果たして感染拡大の歯止めにつながるのか、それとも感染拡大の一因になるのか。その成り行きに注目していきたい。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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