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伊藤文學が語る vol.8

伊藤文學が語る~少年愛の人の中での優等生?

伊藤文學
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『薔薇族』創刊号
『薔薇族』創刊号

 2020年もあと少しで終わりで新年を迎える。毎土曜と月曜日、原稿用紙4枚で一つの話をまとめて、新宿のマンションに住むS君のところへ郵送する。

 ありがたい青年でボランティアでネットを触れないぼくのために、更新し続けてくれている。感謝してもしきれない、ありがたい青年だ。

 S青年は、ぼくの書いた原稿をたまると送り返してくれる。段ボールの中に数千枚と思われる原稿が入っていた。始末しようと思ってゴミ袋に入れ始めたが、どうにも捨てられないものもある。

 この原稿用紙は下北沢の南口商店にある、100円ショップで長いこと購入してきたものだ。それが何と原稿用紙が姿を消していた。今時原稿用紙に文章を書いている人なんて、ぼくくらいしかいないのだから、姿を消すのが当然だろう。物書きを専門にしている作家だって、今時原稿用紙に書いている人なんていない。でもぼくにとっては、どうしても原稿用紙が必要だ。

 1985年の『薔薇族』No.149「人生薔薇模様」のコーナーに、「一方的にときめいて」と題して、神戸市・少年アルファベットさんが投稿している。

「ぼくってホントに底なしの浮気症。次から次へと好きな男の子が増えて、自分の頭の中でも収拾がつかないほど。心ばかりときめかせている。みんな名前も知らない男の子たち。

 だけど必ず定期的に俺の生活サイクルの中に登場してくるんだ。勇気を出してこの気持ちを告げてみたくなる時もあるけど、彼たちは確かにノンケなんだよね。一時の興奮で告白して、そして馬鹿にされて、顔も見られなくなるよりは、このままずっと一方的にときめいているほうが幸せなのかもしれない。

 少年A。彼は朝、同じ電車で会う高校生。身長が180センチぐらいで、目元が涼しくて、小麦色の肌でいかにも健康的なスポーツマンって感じ。剣道着を身に着けたら若武者みたいで、きっとりりしいだろうな。口元のホクロもセクシーでたまらない。

 少年B。俺の会社のビルに清掃に来る男の子。残業していれば必ず会える。目が合うとニコッと笑ってくれる。仕事の疲れなんでブッとんでしまう。

 ザ・グッバイのセッチンにどことなく似ている。「ご苦労さま」と声をかけると、またかゆく、ニコッと笑って会釈してくれる。

 残業は嫌だけど、残業しなくちゃ彼に会えないので、ウーム難しいところ……。

 少年C。よく飲みに行く炉端焼き屋の従業員。彼の名字は知っている。ネームプレートを胸につけているから。

 色白の肌に刈り上げがとってもよく似合っている。ビードロ細工でできているような華奢なボディを見ていると、思わず抱きしめてあげたくなる。矢吹薫に似ている。彼も口元にあるホクロが、かわいさを引き立てている。

 少年D。飲んだ後、時々立ち寄るゲームセンターで会う中学2年の男の子。ニックネームはチャコ。仲間がそう呼んでいた。

 コインを会うたんびに一つかみあげたりする。そうすると、次に会ったとき必ず「お兄さん。この前はどうもありがとう。」と、お礼を言ってくれる。

 以前「どうしてお兄さん、ぼくにばかりコインをくれるの?」って聞かれた。困ったね。やっぱり仲間と一緒の時は、やめておいたほうがいいみたい。仲間に見つからないように、千円札をこの前はあげてしまった。深夜ゲームセンターで遊ぶ不良少年を育成しているような俺は、いけない大人かな。

 少年E。月一回の来訪者。読売新聞の集金に来る男の子。ちょっとイモっぽいけど、じつに素礼で礼儀正しい子。夏なんかわざとトランクス1枚の裸で応対に出ると、目のやり場に困ってずっとうつむいている。先日彼がほっかほっか弁当を買っているのを偶然見かけて、ますますいとおしくなった。

 少年F。水泳部のキャプテン。俺が行く温水プールに集団で練習に来ている近くの中学の水泳部。泳ぎはダイナミックだし、ボディも完璧に形作られている。ボディと全くアンバランスな坊主頭と、ニキビが初々しい。

 このほかにも列挙したらキリがないほど、男の子が登場する。名前も知らない男の子たちが、ずっと俺の心を楽しませてくれますように……。」

 この神戸市の少年アルファベットさん。少年愛の人の中でも優等生かもしれない。少年に手を出さずに、見ているだけで楽しんでいるのだから。

 少年の好きな人って、少年が集まるゲームセンターなどに顔を出す。少年と同じような知識を持ち合わせている。そのくらいの努力をしているのだ。

 少年の好きな人って、少年と接することのできる職業である。もちろん学校の先生だ。ノンケの先生よりも授業に熱心な人が多い。

 ほとんどの先生は理性で抑えているが、中には少年に手を出してしまう先生もいる。新聞の小さな記事になるようなこともあるが、それはごく一部の先生だ。

 誰も好き好んで少年好きになったわけではない。持って生まれたものなのだ。死ぬまでやめられない。つらい思いをして生きている人のことを知ってもらいたいものだ。
(文=伊藤文學)

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