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HIS、意地の経営…国内100店舗閉鎖でも人員削減せず、売上の8割を旅行以外へ転換

文=編集部
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 これまで業績を下支えてきたハウステンボスのテーマパーク事業も56日間休園したため入場者数が半減。売上高は51%減の136億円、営業損益は33億円の赤字(前期は50億円の黒字)。ハウステンボスの赤字転落は10年ぶりのことだ。

 HISの20年11月~21年1月期の売上高は前期比82%減の360億円、最終損益は63億円の赤字(前年同期は21億円の黒字)となる見通し。直近四半期より赤字幅は縮まるものの、苦戦が続く。21年10月期の通期見通しは新型コロナの影響を配慮し、合理的に算定することは困難として「未定」とした。

 澤田秀雄代表取締役会長兼社長は決算記者会見で「21年10月期決算の後半には黒字にもっていきたい」とした。売り上げは22年8~10月期ごろにコロナ前の水準に回復すると期待している。目標の達成は、ひとえに新型コロナが収束し、海外ツアー客が戻ってくるかどうかにかかっている。

海外で人員・拠点を3割削減

 海外で従業員と拠点を削減する。2021年度までに海外の人員を一時解雇などで19年度比で3割削減し、4700人体制とする。海外拠点も35%減の175カ所に減らし、海外子会社を再編する。国内では100店舗をクローズする。社員は新規事業や成長部門へ配置展開し、人員削減は行わないという。旅行商品のネット販売を強化する。

 資金繰りは厳しさを増している。10月19日、第三者割当増資や新株予約権の発行で222億円を調達した。増資は香港の投資会社、ロングコリドーアセットマネジメント(LCAM)、新株予約権は同ファンドと澤田氏が引き受けた。第三者割当増資による新株発行で80億円、新株予約権の発行で146億円を手当てした。発行費用を除いた合計222億円がHISの手取り分となる。

 新たに調達した資金はホテル建設やシステム投資に充てる。“受け皿”となったLCAMの持ち株比率は9.1%に高まり、澤田氏に次ぐ第2位の大株主となる。自己資本比率は14%台に下落する見込みだったが、今回の増資で20年10月末には17.8%まで改善した。

ハウステンボスなど4社程度の上場を検討

 今後5年以内に4社程度のグループ企業を東証に株式上場する計画だ。大型リゾート施設を運営するハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)は、早ければ2~3年後に上場する。HTBは東証1部への上場を計画していたが、コロナ禍で利用客数が激減したため計画を延期した経緯がある。コロナ収束後をにらみ、グループ企業の上場戦略を練り直した。

 HTB以外に上場を目指すのはテーマパークの施設管理や建築などを行うハウステンボス・技術センター(長崎県佐世保市)や、太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電と電力供給をしているHISエネルギーホールディングス(東京都新宿区)。同ホールディングスの傘下にH.I.S.SUPER電力(東京都港区)などがある。

 20年秋、埼玉・川越、東京・飯田橋に開業した「満天ノ秀そば」は100店を超えた段階で上場を検討する考えだ。市場では「親子上場」は歓迎されていないが、新規事業の育成にはカネがかかる。

「湾岸戦争、重症急性呼吸器症候群(SARS)など苦しいことは何度もあったが、(コロナは)過去最大のピンチ」。澤田氏は表情を引き締め、全力投球の構えだ。

(文=編集部)

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