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また、お客様とのアイコンタクトも重要。たとえば飲み物などを渡すとき、まずお客様の顔をみて『こちら〇〇です』と渡します。渡すときはお互いにモノを見ていると思いますが、立ち去る前にもう一度お客様と目を合わせて去るようにしていました。この法則は“目・モノ・目”と言われていますね。特に日本人だと“目・モノ”で終わってしまいがちなのですが、最後にもう一度目を見るだけで、相手に与える印象が全然違ってくるものなんです」(清水氏)
このように訓練を受けたCAたちは、そのしぐさや表情が体に染み付いているそうで、プライベートで職業病が出てしまうこともあるそうだ。
「プライベートで同業者を見ると、所作や表情でわかるんですよね。真顔のときでも表情筋が緩んでいないというか、染み出ちゃっているんです。私も現役時代は職業病が出ることがありました。CAにとって空港や機内にいる人はみなさんお客様なので、目が合えば微笑んで会釈します。そのクセが染み付いていて、私服に着替えている状態でも、すれ違った人と目が合ったときに会釈してしまうんです。プライベートで駅を歩いているときにもやってしまうので、変な目で見られたかなあ……とよく反省していました(笑)」(清水氏)
そんなCAの隠れルールの根幹には、“自分も周りも心地よくいるための気配り”があると、清水氏は分析する。
「CAになるまでは、そういったルールの数々は“人に迷惑をかけないための気配り”だと思っていたんですが、自分が実践するにつれて、その気配りが潤滑油となってコミュニケーションがスムーズになっていくことがわかりました。ですから、これらのルールは自分も周りも心地よくいるための気配りなのだろうと思うんです」(清水氏)
清水氏が語った通り、CAたちには一般人の知らない隠れルールがあるようだが、それは安全に、そして気持ちよく乗客を目的地に送り届けるためなのだろう。
(取材・文=福永全体/A4studio)