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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

スポーツをすると貧血に陥りやすい?なぜ完璧な栄養管理を行うアスリートも貧血になる?

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
スポーツをすると貧血に陥りやすい?なぜ完璧な栄養管理を行うアスリートも貧血になる?の画像1
「Getty Images」より

「飽食の時代」とも呼ばれる現代、世代を問わずその栄養状態は良好と思われがちだが、実態は異なるようだ。近年、増加傾向にあるのが「貧血」である。一口に貧血といっても、さまざまなタイプがあり、そのなかでもアスリートが陥りやすい貧血があることは広く知られていない。

 血液は栄養や酸素を血流に乗せて体の隅々まで届ける。その際、栄養や酸素を運搬する役割を担うのが赤血球である。スポーツファーマシストの石田裕子氏に話を聞いた。

「赤血球の中で実際に酸素を運ぶ役割を担っている成分はヘモグロビンという蛋白質で、ヘモグロビンをつくるためには鉄が必要不可欠です。貧血の9割は、この鉄分が不足していることにより起こる鉄欠乏性貧血といわれています」

 この鉄欠乏性貧血により、倦怠感や気力低下のほか、酸素が十分に運ばれなくなり酸欠のような状態になることで頭痛や息切れを起こすことがある。 

 栄養管理もストイックに行うアスリートたちであっても、鉄欠乏性貧血を起こしやすい傾向にあるという。その原因は「フットストライク溶血」である。フットストライク溶血とは、足の裏が地面と接地する際の衝撃で赤血球が壊されることであり、これによって鉄欠乏性貧血が起こりやすいともいわれる。

「フットストライク溶血によって破壊された赤血球から放出された鉄は体内でリサイクルされ、新たにつくられる赤血球に取り込まれるため、臨床的には貧血の原因としては軽微な場合がほとんどです。また、アスリートに関する一部の研究では、この溶血によって古くて硬い赤血球が壊され、微小循環をより容易に流れる柔らかい変形自在な赤血球の産生を促進されるため、有益な現象であるという考察もあります」

 しかしながら、ランニングなどでは着地時に体重の 1.3~1.6 倍の力が加わり、長時間繰り返し足底を地面に打ちつけることになるため、フットストライク溶血が原因となる貧血がパフォーマンスに影響する可能性もゼロではない。そのリスクを避けるためには、クッション性の高いシューズの着用が有効である。

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