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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

コロナ禍で「冬アイス」の動向はどう変わる?巣ごもり需要で“マルチパック特需”発生

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

夏は「濃厚」「旅行気分」のアイスが売れた

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4月8日、「緊急事態宣言」発令後の新宿

 2019年は、稼ぎ時の7月が記録的な冷夏で過去最大の落ち込みとなり、アイス市場全体の年間の数字は伸び悩んだ。今年7月も冷夏で梅雨明けが遅れたが、その後のアイスの売れ行きは好調だった。

 アイスの嗜好は人それぞれだが、一般的な傾向として、冬のアイスは濃厚な味が好まれる。逆に、夏はさっぱり系が人気だ。だが最近は、そうした消費鉄則が崩れてきた。

「この夏は『板チョコアイス』が8月でも売れました。ベルギー産チョコレートを用いてバニラアイスをはさんだ、パキッと割って食べるアイスです。秋冬の期間限定だったのを通年販売にしたのですが、予想を上回る売れ行きでした」(森永製菓)

 例年なら、夏は旅行需要も高まるが、それができなかった消費者の一部は「いながら旅行気分」も楽しんだ。

 そうした層に支持されたのが、北海道のコンビニとして知られるセイコーマートの自社PB商品「セコマ(Secoma)」の「北海道牛乳ソフト」や「北海道メロンソフト」だ。

「『北海道メロンソフト』は、道産の赤肉メロンを使い、2006年に発売。当初はメロン果汁1トンからのスタートでしたが、現在は100トン以上に拡大しています」(セコマ担当者)

 こだわるのは、メロンのおいしさに加えて、ミルクのおいしさ。「北海道クリーミーソフト」なども人気で、仕事仲間は「道内旅行で食べたソフトクリームのよう」と話していた。

「道内のサロベツ原野に育つ牧草を主食にした乳牛から絞る生乳を、近くの豊富町の牛乳工場で原料乳に加工。クルマで約1時間半の羽幌町の工場に低温配送しています。生乳から加工まで、製造工程で鮮度を閉じ込めているのも自慢です」(同)

「食べる時間」「買う時間帯」が変わった

 最近の執務状況を聞くと、「会社に行くのは週に1~3日(業務次第)。あとはリモートワーク」と話す人が多い。在宅勤務が中心となり、アイスを食べる時間も変わった。

 商品の人気に加えて、こうした喫食シーンの変化も手伝い売り上げを伸ばしたのが「アイスの実」(江崎グリコ)だ。

「以前の平日は帰宅後に食べることが多かったのが、自宅勤務となり、おめざとしてアイスの実を数粒食べたり、デスク作業やオンライン会議の合間に食べるなど、平日の日中に食べられる時間が増えたのも大きいと考えています」(江崎グリコ担当者)

 アイスを買う時間帯にも変化が出た。

「これまで目立たなかった『9~11時』『13~14時』に買う人が増え、逆に19時以降は減ったのです」(森永製菓)

 自宅なら、オンライン通信をしない時は“上司や同僚の目”からも解放される。通勤して職場で一緒に執務していた際には難しかった「息抜きアイス」となっているようだ。

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