『紅白』GReeeeNは本物だったのか?顔見せの理由、感動の演出の背景の画像1
「GReeeeN」公式サイトより

 毎年大みそか恒例のテレビ番組『NHK 紅白歌合戦』(NHK総合)。先月31日の放送でファンたちの間で議論を呼んだのが、男性4人組のボーカルグループ「GReeeeN」のステージだった。これまで一切姿を明かさず覆面活動してきた4人が、拡張現実(AR)を使った演出で初めて姿を現したのだ。果たして素顔を明かした4人は本物なのか――?

震災から10年、その思いを歌に

 「GReeeeN」はこの日、NHK朝の連続テレビ小説『エール』の主題歌『星影のエール』と『キセキ』を披露した。HIDEは「来年で東日本大震災から10年がたちます」と今回の紅白に向けた思いを吐露。そのうえで「福島で結成した僕たちもあの日々を目にして、さまざまな思いが生まれたわけですけども、復興に向けてみんなで力を合わせてあきらめずに歩き続けてきた10年でした。今夜はこの10年の福島、東北の映像や写真と一緒に僕らの思いを『キセキ』という曲に乗せて歌います」と語り、熱唱。NHKホールに4人のシルエットが浮かびあがり、歌の盛り上がりとともに姿や顔が次第に明らかになっていった。

被災地で彼らが尽くしてきたこと

「GReeeeN」のメンバーHIDE、navi、92、SOHの素性はこれまで極秘とされていた。

 彼ら本人や大学の同級生、その家族を知る地方紙記者は次のように話す。

「あれが本物かどうかを語るのは野暮なので、言いたくありません。ただこのタイミングでああいう演出をした彼らの思いはよくわかります」

 では、このタイミングで姿を現した理由はなんだったのか。震災当時、岩手と福島で活動していた東北地方のある歯科医は次のように彼らの心中を慮る。

「インターネット上で言われている通り、彼らは現役の歯科医です。そして、紅白のステージ上でも語っていたように、2021年は東日本大震災からちょうど10年の節目です。彼らにとって、それはとても大きな意味があるのだと思います。東京電力福島第1原発事故が起こった福島県で結成されたという縁だけではないのです。

 公にしないことになっていますが、震災当時から彼らは歯科医として、被災地の支援にあたってきました。大津波で地元の医療機関が崩壊してしまったこともあり、医療従事者の手はいくらあっても足りない状況でした。避難した高齢者の診察はもちろん、我々被災地の歯科医には身元不明遺体の歯形の照合という、とても重要で大変な仕事が課せられていました。

 当時は全国各地から多くの医師が救援に来ていて、誰がどうとか知る余裕はなく、しばらくたって知ったことですが、彼らは自分たちの身分を明かさず、あくまで一人の医療人としてそうした現場を支援してくれたと聞いています。彼らは当時、医者として“命の現場”に立っていたのです。

 2020年は新型コロナウイルス感染症が拡大し、10年前と同じように多くの人々が苦しみました。今もなお、日本中の医療者が正念場を迎えています。紅白で彼らが歌った『キセキ』を聞いて、震災当時の光景と現在の惨状が重なりました。そして改めて、自分たちの仕事の意義を思い出させてくれました。涙なくしては見られませんでした。今は『ありがとう』と心から言いたいです」

 紅白は、今回も忘れがたいドラマを残したようだ。

(文=編集部)

 

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