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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

2021年、「失われた40年」の分水嶺…ワクチン浸透・五輪開催なら経済正常化の可能性

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
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リスクは政治と金融市場

 一方で、経済が正常化に向かえば、コロナショックで大幅に拡大した金融・財政政策にも正常化圧力がかかる可能性がある。しかし、そもそもコロナショック以前でも日本経済は正常化していなかった。このため、経済が正常化する前に金融・財政政策が拙速に手仕舞われることにより、経済が正常化に向かうチャンスを逸すれば、日本経済が失われた40年に突入するリスクもあろう。

 また、菅義偉首相が自民党総裁として在任できる最長期限は2021年9月末だが、その翌月10月21日が衆議院議員任期満了となることからすれば、自民党総裁選前の2021年中に解散総選挙を行う可能性もあろう。

 このため、構造改革や解散総選挙の状況次第で菅政権の政権基盤の揺らぎが生じることになれば、マーケット環境の悪化を通じて日本経済に悪影響を及ぼすリスクもあろう。日本株の売買は6割以上が外国人投資家であり、菅政権の政権基盤が盤石なほど、外国人投資家が日本株を保有しやすくなり、基盤が揺らぐほど手放されやすくなる。そうなれば日本経済も困難を強いられることになるだろう。

 また、新たに米国大統領に就任する可能性が高いバイデン政権の政策運営もリスクだろう。バイデン氏はトランプ氏の通商政策をかなり批判してきたため、通商政策の不透明感が少し和らぐ可能性がある。しかし、米民主党政権は民主主義や人権を非常に尊重しているため、人権問題や安全保障に関して強気な対応をしてくれば、米国経済に悪影響が及ぶ可能性もあろう。さらに、金融市場のバブルもリスクである。特に、世界の政府・中央銀行は世界恐慌以来の危機とされるコロナショックの状況にあるため、異次元の金融・財政政策に動いている。しかし、ワクチンの普及などにより経済が正常化に向かう期待が高まり、世界の政府・中央銀行が金融・財政政策の拙速な出口に向かうようなことになれば、2013年のバーナンキショックのように、金融市場が大きく混乱することになり、日本経済への悪影響も無視できないことになろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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