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隠れた世界的企業・村田製作所、日本経済を牽引…セラミックと全固定電池で世界を変える

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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村田製作所の競争力を支えるセラミック技術

 セラミックコンデンサや全固体電池の開発に共通するのが、微細なセラミック原料を生み出す村田製作所の技術力だ。つまり、競合相手がまねできないセラミック技術が高い参入障壁となり、村田製作所の競争優位性を支えている。

 中国や韓国の企業は、日本をはじめ海外企業からの技術移転を重視して携帯電話や5G通信基地、半導体などの世界シェアを高めてきた。特定の機能を確立した製品は、競合企業に分解されて模倣される。その結果、市場では価格競争が進む。

 それに対して、村田製作所は世界のセラミックコンデンサ市場で40%のトップシェアを維持している。2014年度以降の営業利益率は10%を上回り、傾向としては上向いている。それを支えているのが、原材料の段階から品質の向上に努め、他社がまねできない多様な製品を生み出す事業運営体制だ。品質が安定した微細なセラミック原料の生産には、設備もさることながら組織に受け継がれてきた製造技術とその向上・習熟が欠かせない。そうした力に磨きをかけることによって、同社はiPhone の小型化や薄型化などに関するアップルからの要求に応えた。

 言い換えれば、村田製作所には、原材料のレベルから多種多様な顧客ニーズに対応する懐の深さがある。それが同社の利益率の高さを支えている。重要なことは、常に最先端の製品が必要とされるわけではないことだ。例えば、ワイヤスイヤホンなどのウエアラブル端末と、自動車に搭載されるバッテリーやコンデンサのサイズは異なる。企業に求められることは、多様な需要に機敏に対応して、着実に収益を獲得するしなやかな事業体制を確立することだ。

 村田製作所の競争力がどう推移するかは、日本経済に無視できない影響を与えるといっても過言ではない。同社がセラミック関連の技術を磨き、電子部品に加え中韓の企業が生産する車載バッテリーを凌駕する電池を開発できれば、日本経済の屋台骨である自動車産業にも大きな変化をもたらすだろう。村田製作所のセラミック技術は、多くの企業を巻き込んだイノベーション(新結合)に発展する可能性を秘めている。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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