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「青汁」のキューサイ、急成長と転落…相次ぐ品質トラブル、ユーグレナに飲み込まれる

文=編集部
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 そこで打ち出したのがキューサイの買収だ。青汁を軸にコラーゲンの健康食品やケールを使った化粧品の販売を主体とする知名度の高い通販企業だ。19年12月期の売り上げは249億円、営業利益は27億円、純利益は13億円。37万人のユーザーを抱える。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は限定的で業績は順調だ。

 ユーグレナにとっては過去最大のM&A案件である。「小が大を飲み込む買収」の成否が問われる。

CMで青汁は全国区に

「まずい! もう1杯!」。悪役俳優の八名信夫さんがグラスの鮮やかな緑色の液体を一気に飲み干し、顔をしかめ、しゃがれ声でこう言うCMが強烈な印象を与え、青汁の大ブームを巻き起こした。1990年のことだった。

 創業者は長谷川常雄氏。京都市出身。同志社大学経済学部卒。大沢商会に入社し、福岡支店に勤務していた時に独立。63年、菓子製造販売会社の長老製菓(のちの長谷川製菓)を創業し、ニチレイの協力工場として冷凍食品を製造していた。

 長谷川氏本人が体調不良の際にケールを搾った青汁を飲んで効果を実感したことから、82年、ケールを原料とする冷凍タイプの青汁の製造販売を始めた。だが、独特の苦みがあり、売れ行きは芳しくなかった。

 95年、キューサイに商号変更。97年、株式を店頭公開した。青汁を表看板に増収増益を続け、99年9月、東証2部と福岡証券取引所に上場した。急成長の裏側で青汁の品質に関するトラブルが起きた。2000年6月、「ケール100%」をうたいながら原料にキャベツを使用していたことが発覚した。前年に熊本県に上陸した台風の影響を受けたケール畑が大きな被害を受け、生産を委託している農事組合法人が深刻な原料不足に陥ったのが直接の原因。消費者に断りなく原料にキャベツを加えていた。公正取引委員会から排除命令を受けた。急成長を続けていたキューサイの信用はガタ落ちとなった。

 創業者の長谷川氏はキューサイを売却する。06年12月、大和証券グループ本社と三井住友銀行が共同出資していた投資ファンド、エヌ・アイ・エフ食品スーパーBCベンチャーズ(現・SMBCベンチャーキャピタル)の関連投資会社に全株式を売却した。07年3月、キューサイは上場廃止となった。創業者一族は400億円あまりのキャッシュを手にした。長谷川氏や家族はロンドンに生活拠点を移した。英国への移住は相続税対策といわれた。晩年になって長谷川氏は望郷の念が強まったためか、日本に帰国。19年4月、85歳で亡くなった。

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