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コカ・コーラは360億円で買収したキューサイを400億円で売る
キューサイを買収した投資会社は10年3月、全株式を九州が営業地盤のコカ・コーラウエストに約360億円で売却した。キューサイの買収にはコカ・コーラの米本社が反対していた。ウエストは飲料事業が苦戦しており、利益率の高いキューサイの売り上げを取り込もうとした。しかし、不特定多数を相手にする清涼飲料メーカーと特定顧客に商品を売り込む健康食品メーカーでは、商品の開発や販売の手法がまったく違う。「健康面での効能をうたう商品はリスクがつきもの」というのがコカ・コーラの米本社の反対の理由だった。
実際、17年、キューサイ子会社の日本サプリメントが許可条件を満たしていない商品を特定保健用食品(トクホ)として販売。「景品表示法違反(優良誤認)にあたる」として消費者庁から課徴金の納付の命令を受けた。
17年、コカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンが経営統合し、コカ・コーラ ボトラーズジャパンが誕生。これを機に米本社の圧力が強まった。キューサイを買収した当時の経営陣の影響力も薄れ、必然的に売却の流れが早まった。キューサイの売却では国内外の複数の投資ファンドが入札に参加した。地元では佐賀県鳥栖市に本社がある、貼り薬・サロンパスで知られる久光製薬が“受け皿”になることへの期待があった。
競り落としたのはユーグレナ、AP、東京センチュリー連合。決め手は買収価格。400億円と最も高かった。創業者が手放した青汁のキューサイは、投資ファンド、コカ・コーラを経て、ユーグレナに渡った。
ユーグレナの業績は水面下の動きが続く。そうしたなかでのキューサイの子会社化の動きを市場(マーケット)はどう評価するのだろうか。
(文=編集部)