全国の私立大学、「総定員充足率」ワースト20校リスト…経営状況に要注視の画像1
高岡法科大学(「Wikipedia」より)

 恒例の受験シーズンに入ったが、2021年は異例かつ異様な年として、教育史に残ることだろう。何しろ天王山にあたる大学入学共通テスト(前年までは大学入試センター試験)が3回も実施され、横浜国立大学のように、二次試験にあたる個別学力検査の実施を断念した大学さえ出ている。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない現況では、横国大に倣う大学が出てくるのではないか。

 過去に誰も経験したことのない、緊急事態の下での入試だけに、見通しを立てるのはきわめて難しい。

「情報を収集するのに精一杯で、予測をするどころではない」(教育関係者)

 ただひとつ言えそうなのは、想定外の変更によって、合格太鼓判組が苦杯を喫し、ボーダーライン組が望外の成果をあげるような、波乱が起こりやすいことだろうか。もとより最後はメンタルが決め手になるのが、あらゆる試験の要諦ではある。

 今年の入試で特に注視すべきなのは、看護系大学・学部の動向ではないか。就職に有利な資格を取得できることもあり、看護系の大学・学部は、少子化進行の下でも安定した人気を集めてきた。看護系の学部新設によって、受験生を集めるのに四苦八苦していた大学が、息を吹き返した例もある。しかしコロナ以降はどうであろうか。日々、心身の危機に直面する職業であることや、それに見合わない収入や待遇が、改めて浮き彫りにされている。しかも欧州での変異種の発生が示すように、このまま終わるとは限らない。二の足を踏み、結果として敬遠する受験生が、相当な数出る可能性は否定できない。

 忘れてはいけないのは、大学の危機が依然として続いていることだろう。20年5月に巻き起こった学校の9月入学制への移行騒動が、大学を含めた学校法人の際どい運営実態を明らかにした。当初賛意を示していた萩生田光一文部科学大臣、小池百合子東京都知事、吉村洋文大阪府知事らが、一斉に腰砕けになったきっかけは、私学のトップ校を率いる田中愛治早稲田大学総長が、日本経済新聞(同年5月11日朝刊・教育面)に寄稿した慎重論であろう。文中で、田中総長は拙速な導入の問題点を、さまざまな角度からあげているが、推進派に特に衝撃を与えたのは、以下に引用する部分と思われる。

「(教育システム全体が9月入学に移行すると仮定すれば)21年度の春学期の授業料は納入されない。その半年分の授業料が納入されなければ、私立の小中高大とも2割から4割は倒産を余儀なくされよう」

 新入生の納入金を運転資金にして、どうにか体面を保っている学校法人はかなりの数、存在することになる。

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