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日本の禁煙対策は行き過ぎ!家庭内にまで入り込む異常性、反喫煙運動が加速する裏側

文=編集部
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「Getty Images」より

 2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立、2020年4月1日より全面施行された。基準を満たした喫煙室以外では、原則として屋内での喫煙が禁止となった。こうした国の動きと前後して、全国各地の自治体でも独自の受動喫煙防止条例が制定され始めた。

 たとえば東京都では、従業員がいる飲食店では原則禁煙、学校等では敷地内に喫煙場所の設置も禁止など、国より厳しい基準となっている。また、大阪府寝屋川市では、子どもを受動喫煙から守るために、子どもがいる空間では喫煙を禁止する条例が施行された。

 子どもを受動喫煙から守ることの是非は論じるまでもないが、家庭内での喫煙についてまで法令で規制することには異論が少なくない。昨今の喫煙規制について、ジャーナリストの須田慎一郎氏に話を聞いた。

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須田慎一郎氏(撮影/深澤明子)

須田慎一郎氏(以下、須田)日本の受動喫煙防止、喫煙規制は世界的に見ても特殊なんです。そこに違和感というか、不満があります。喫煙の規制は海外のほうが早く始まりました。たとえば米ニューヨークでは、基本的に屋内は禁煙で、屋外は喫煙可という感じで、プライベートとパブリックを分けていました。当初、パブリックの部分についても、オフィスなど多くの人が集まる場所については、多数決を用いて喫煙の可否を決めていました。しかし、健康被害などの問題が生じてきた結果、公の場は一律に禁止となっていきます。

 それに対して日本では、まず屋外から規制が始まっています。そして屋内にも禁煙の波が広がりつつあり、結果的に逃げ場がなくなっているのです。たとえば東京・千代田区では、屋外はほぼ例外なく喫煙所以外での喫煙は禁止となっています。さらに受動喫煙禁止の条例等が施行されたことで、屋内も喫煙できなくなってきました。これは、米国で規制が厳しいニューヨークに比べてもはるかに厳しい状況です。日本の喫煙規制は、なんのためにあるのか、目的がわかりにくいです。

–公の場での喫煙が規制されるのは、ある程度は仕方ないところだと思いますが、寝屋川市や福島市など、家庭内での喫煙にまで踏み込んでいることについては、どのように感じますか。

須田 古代ギリシャ以降の、『法は家庭に入らず』という法の大原則が侵されているといえます。法治の原則から逸脱しているのではないでしょうか。
また、これらの条例はあくまで努力義務規定ではありますが、近隣からの通報など、家庭内を第三者が監視するような状況に発展したり、実効性の観点から将来的に罰則付きの法令に改定されるという懸念があります。

–江戸時代の「五人組」のような監視社会になる恐れもありますね。また、禁煙条例の成立は、ポピュリズムというか、大衆の人気取りも目的にあるようにみえます。

須田 もちろん、政治的な目的も多分にあります。政治が決める事柄については、賛否が分かれるケースもあれば、誰も表立って反対できないようなケースも多々あります。たとえば後者は、健康問題や差別問題などがそうです。タバコの場合、子どもなどの弱者を表に出して『この人たちの健康が侵されてもいいんですか』というロジックを組み立てられると、喫煙者も含めて誰も反対できません。そのうえで禁煙条例を成立させれば、人気取りができると同時に、政治家の仕事面での評価も上がるという効果が生じます。そのように、いとも簡単にポイント稼ぎができるツールという側面があるのです。

タバコと健康被害の因果関係が立証されていないのに、なぜ反喫煙が加速?

–禁煙条例に関しては、紙巻きタバコと電子タバコ加熱式タバコなどの区別が曖昧という問題もあるように思えます。特に加熱式タバコについては、健康被害の有無に関しての科学的エビデンスが確立されていないとの見解もあります。

須田 そもそも紙巻きタバコの健康被害に関しても、『タバコを吸ったからがんになった』といった調査は、あくまでも疫学調査です。タバコがどのような作用をしてがんを発生させるのか、といった科学的検証ではないのです。つまり因果関係が立証されたとはいえません。もちろん、疫学調査を否定するわけではなく、タバコによる健康被害のリスクもあるのでしょう。しかし、少なくとも因果関係がはっきりしないなかで反喫煙・受動喫煙防止の動きが進められてきたわけです。

 確固たるエビデンスがないなか、いわば感情論的に施策が行われてきたといえます。根拠が弱くても”リスクが懸念される”状況があるため、仮にタバコと健康被害の因果関係が立証されてから規制しても遅いという論旨で、予防的に規制されているのです。

 電子タバコなどについても同様に、健康被害について科学的根拠がなくても、予防的に規制するという状況が繰り返されていくと思います。

–立法的な観点でいうと、科学的根拠が確立されてからではなく、予防的に規制する法律は珍しいように思えますが、いかがでしょうか。

須田 法律は問題が発生してから、それを解決するためにつくられるものです。何も問題がない状態で法律がつくられることはありません。そういう意味で、タバコについては問題点が明確になっていないにもかかわらず規制する珍しい法律ですね。とはいえ、タバコの煙を吸いたくない人たちがいるわけで、そういう人たちが吸わないようにするためにどうすればいいのか、という問題があるのは確かです。

 それを家庭内にまで法令が踏み込んで規制することには違和感がありますが、そこには別の問題があるのかもしれません。

–喫煙者と非喫煙者が共存、あるいは住み分けするためには、どのような方法が考えられるでしょうか。

須田 一括りに非喫煙者といっても、グラデーションがあります。絶対に煙を浴びたくない人から、自分は喫煙しないもののほかの人が吸うのは気にしないという人まで多様です。他人の喫煙まで禁止しようとする極端なケースは除いて、喫煙者と非喫煙者がどうすれば折り合えるのかと考えると、タバコを吸う場所を完全に分離することが必要になります。実際、今の世の中はそういう方向に動いていますが、喫煙できる場所の絶対数が少なすぎます。この喫煙所の絶対数を増やしていけば問題は解決できるはずです。

 しかし、それを実施していないという点は、行政の怠慢があるのではないかと思います。なぜなら、年間2兆円を超えるタバコ税の税収がありながら、それを喫煙者に還元していないのです。今後もその安定した税収を確保するために、喫煙環境を守るために多少はコストをかけるべきではないでしょうか。

–ありがとうございました。

 国はタバコの販売によって税収を得ている以上、当然に喫煙環境の整備を行う義務はあるだろう。単に規制するだけではなく、喫煙者と非喫煙者が共存するための施策も行政には検討してもらいたい。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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