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三菱「エクリプスクロスPHEV」、驚異的な安定感の秘密…ランエボ譲りの前後駆動配分

文=木下隆之/レーシングドライバー
三菱「エクリプスクロスPHEV」、驚異的な安定感の秘密…ランエボ譲りの前後駆動配分の画像1
三菱自動車「エクリプスクロスPHEV」

 三菱自動車工業の電動化技術には、目を見張るものがある。世界初の量産EV(電気自動車)である「i-MiEV」を開発。内燃機関であるガソリンエンジンと、純粋な電気自動車であるEVをひとつのプラットフォームで成立させるという離れ技をやってのけた。

 ガソリンをリアに搭載するというRR駆動方式でありながら、ひとたびEVになればバッテリーを低く薄くフロア下に敷き詰める。汎用性のある変幻自在なプラットフォームの開発で、独特の手腕を発揮するのだ。

 そしてさらに、PHEV(プラグインハイブリッド)技術にも冴えをみせる。「アウトランダー」でPHEVを投入、ミドルサイズのSUV(スポーツ用多目的車)ながら高級モデルとたがわぬ上質な乗り味を披露した。EV技術は言うに及ばず、高い評価を得ている。

 その一方で、三菱自は類まれなる4輪制御技術を備えている。かつての「ランサー・エボリシューション」で完成させた4輪制御技術を、電動化モデルに注ぎ込んだのである。

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 そう、それが今回姿を現した「エクリプスクロスPHEV」である。2年前に誕生したエクリプスクロスは、エンジンのみの搭載だった。だが2年後の今年、ガソリンエンジンに加えて2基のモーターを搭載するなどして、PHEVとして誕生した。内燃機関のプラットフォームをEVと共有するのは、i-MiEVで培った技術の応用だろう。

 ガソンリモデルより全長が140mmも伸びた。その内訳は、フロントのオーバーハング35mmと、リアのオーバーハング105mmである。リアセクションを大きく延長することによって、視覚的なスタイリッシュを狙ったばかりか、モーターやインバーターをリアに搭載しても荷室が犠牲にならないように工夫したのだ。その応用技には目を見張る。

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 エクリプスクロスPHEVは、2基のモーターを自由自在に操る。通常走行はEVとして振る舞う。搭載するエンジンは発電機として機能、バッテリーに蓄電し、その電力を引き出してモーターを駆動させる「シリーズ走行モード」でいる。それでいて力が必要になれば、エンジンの動力をフロントタイヤに直接伝達し、「パラレル走行モード」として機能する。さらにモーターだけで駆動する「EV走行モード」もこなす。ごく一般的なハイブリッドであり、EVであり、日産自動車の「e-POWER」でもある。変幻自在な制御は、三菱自の得意とするところだ。

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 さらに特徴的なのは、4輪制御技術を生かしていることだ。前後のモーターは互いに連携し合い、常に最適な駆動配分をこなす。ステアリングの操作に連動して、絶えずコントロールしているのだ。走行中、たとえ直進していても絶えず微小なステアリング操作をしているはずだ。そんなわずかなステアリング補舵にさえ、前後のモーターは最適値で反応しているのである。だから、滲み出るような安定感がある。

 そしてもちろん、ランエボ譲りの前後駆動配分は、ドライブモードを「ターマック」に設定した瞬間に真価を発揮する。といっても、ランエボのような競技仕様ではないし、限界ギリギリの操縦性という意味でもない。ややハイペースでワインディングを走り始めると、胸のすくような爽快な操縦性を披露するのである。

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 エクリプスクロスにPHEVが加わった。その情報を得たとき、にわかに経済性オンリーのSUVであろうと想像してしまったが、実態はそれとはそぐわない、元気に走るモデルだった。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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