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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

NHK受信料は月600円に下げられる…約4千億円“貯め込み”、平均年収1千万円の好待遇

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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 建設積立金についても、今回の中計で渋谷の新放送センターの計画の抜本的見直しが決まったことで、こちらも先に述べた200億円を含め、かなりの部分が受信料値下げの原資となることは既定路線となっている。

子会社・関連会社にも「埋蔵金」1200億円

 さらに、今回の中計には記されていないが、NHKグループの子会社・関連会社(以下、グループ会社)の15社にも剰余金が約1200億円あり、「埋蔵金」となっていることはもっと知られていい。

 この剰余⾦が問題視されたのは17年3⽉の会計検査院の報告書で、剰余⾦が08年度の757億円から年々増加していることや、NHKが⼦会社を含む関連団体と結んだ契約の9割超が随意契約だったことが判明し契約の公平さが問題視された。

 剰余金は最新の昨年3月末時点で約1163億円とNHK本体の剰余金とほぼ同水準。随意契約にしても19年度でも約9割程度が続いており、状況はまったく改善されていない。

 NHKのグループ会社はそれぞれ、議決権を各社とNHK本体で全体の6〜9割保有している上、残りの議決権も基本的にほぼグループ会社同⼠の相互持ち合いとなっているため、事実上NHKの一部門といえる。グループ会社の分の余剰金も含めて、今後の受信料引き下げの原資となるべきなのはいうまでもない。さきほどのNHK本体の3000億円と合わせれば、なんとグループで4000億円の余力があることになる。

1年間600円の値下げまでは可能

 さて、この4000億円をスタートにして、最大限どの程度受信料値下げが可能か検証してみる。

 NHK本体の3000億円のうちの剰余金1450億円について、NHKが「剰余金は震災時の備えとして事業規模の1割は必要」と説明してきたが、これが正しいとすると700億円あれば十分ということになる。残りの750億円は値下げの原資にできる。建設積立金については、1700億円のうちかなりの部分が削られるとみられるため、1000億円を拠出するとして、1750億円がNHK本体から捻出できる。グループ会社の1200億円は問答無⽤で召し上げるとして、約3000億円が最⼤の値下げ余⼒と言っていいだろう。

 とすると、前述の全契約につき1年間月額100円値下げに必要な504億円の6倍となり、1年間だけなら600円、2年間なら300円の値引きが可能となる。これなら、「地上放送600〜900円、衛星放送1570〜1870円」とそれなりには納得感のある価格設定にできる計算となる。受信料値下げを主導する菅⾸相と武⽥良太総務相のゴリ押しコンビには、このあたりまで踏み込んでほしいものだ。

放送法の抜け穴「自主事業」で剰余金捻出

 さて、この子会社・関連会社がどうやってNHK本体と同水準の剰余金を貯め込んできたかについても書いておかねばなるまい。

 グループ会社は「自主事業」という名目で放送法に定められた本来業務から離れたビジネスも手掛けることが可能となっている。その代表格がイベントやコンサート、展示の事業で、「天下のNHK」のブランド力を背景としてスポンサー収入を得ている。放送法ではNHK本体の広告放送を禁⽌されているため、「グループ会社を通したグレービジネス」との批判は根強い。

 例えば、教育番組制作を手掛けるNHKエデュケーショナルは毎年、『おかあさんといっしょ』など国民的幼児番組の出演者・キャラクターによるコンサートを主催している。昨年度の決算によると、夏に開かれた「おかあさんといっしょスペシャルステージ」(さいたま・大阪)を開催。合わせて4日間に1日3回の12公演で13万9000人超を動員する盛況ぶりで、チケットも入手困難だったという。このイベントにはここ数年、大和ハウス工業がスポンサーにつくことが慣例となっている。NHKエデュケーショナルのこの年度はイベント事業全体で売上の6%程度の約14億円だった。ただ、⼤型イベントが中⽌となったためで、例年20億円規模の売上を出しており、同社の重要収入源となっている。

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