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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

NHK受信料は月600円に下げられる…約4千億円“貯め込み”、平均年収1千万円の好待遇

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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 さらに、NHKプロモーションも昨年度にコンサート・イベントで、江崎グリコ協賛の「ワンワンまつりパーティー編」を5会場で開催しているなど枚挙にいとまがない。

 グループ会社が単独で制作・放映したコンテンツならこれほどの動員も売上も望めないのはいうまでもなく、「NHKが直接スポンサーを募っているのと同じ」(総務省担当の長いベテラン記者)と批判されても仕方ないだろう。グループ会社はNHK本体にコンテンツの二次利用の使用料などで毎年計約60億円の「上納金」を支払っているが、剰余⾦がNHKと同程度に膨らんでいるところをみると、まったく不⼗分であると言わざるを得ない。

グループ会社にOB100⼈天下り

 グループ会社をめぐってはNHK職員OBの天下り先としての問題も指摘されてきた。もともとNHK本体でできる事業をグループ会社に投げていることが経営非効率の要因とされており、今回の計画でも、中間持ち株会社を設置し、業務の重複廃止などの効率化を図る方向性が確認された。NHKが昨年11月に出した説明資料によると、役員が79人から39人に半減し、従業員も181人から3分の2の126人に削減することで、人件費が年間8億円浮くという。単純計算しても一人当たり約850万円の高額な人件費をムダに払っているということだ。

 各グループ会社の決算資料を確認すると、昨年度の取締役の年収は、NHKエンタープライズ(12人)で約1650万円、NHKエデュケーショナル(6人)で約1000万円、NHK出版(8人)で約930万円、NHKプロモーション(5人)で約710万円などとなっている。一般庶民の感覚からして、ここまでの高給の役員がこの数必要なのかとの疑問が湧いてくるのは当然だ。エンタープライズやエデュケーショナルの社⻑のようにグループ会社の取締役を複数兼務している場合もあり、その役員報酬を合算するとさらに年収は跳ね上がるとみられる。

 しかも、このグループ会社の社長や幹部は基本的にNHK本体の理事や局長、横浜や名古屋など大都市圏の放送局長などの経験者である。エンタープライズ社長は元理事、エデュケーショナル社長は元NHK制作局長などパッとみたところでズラリと有力OBが並ぶ。普段、官僚の天下りを批判している組織とは思えないほどのすがすがしさだ。「グループ会社に幹部として再就職したNHK職員OBは常時100人規模に上る」(先のベテラン記者)というのも納得だ。

過剰な特権は剥奪すべき

 OBだけでなく現役のNHK職員の待遇も恵まれているため、こちらも再考し受信料値下げの原資としてほしいものだ。NHKの昨年度決算によると、約1万人の職員の給与総額が1114億円だから、平均給与が一人1000万円。これは一般基準からすると相当高給にあたる。

 加えて、福利厚生の良さは異常だ。「どこの火山が噴火しても生映像を撮影できる」「事件取材の現場で他社の2倍以上は聞き込み要員がいる」(全国紙記者)というような人数を抱えていながら、「家賃が高額な都⼼部で家賃5万円程度の社宅に住める」(30代の在京のNHK記者)など、払いたくもない受信料を払わされている一般庶民からすればあまりに過剰な待遇だろう。記者の免職問題にも発展したタクシー券の不正利用の問題もあり、「特権階級」と化したNHK記者が社会的弱者の立場に立った報道に当事者意識を持って臨めるか大いに疑問だ。

受信料引き下げ、菅は嫌いだが仕方ない

 筆者は菅政権には批判的であるが、NHK改革に関しては諸手を挙げて賛成する。携帯料金引き下げの際は、国家が⺠間企業である携帯電話会社の料⾦プランに介入することが市場原理に基づく民主主義社会の原則を脅かすと考え、批判記事を書いた。しかし、NHKは民間企業ではなく市場に基づく自浄能力はない。ここまで散々書いてきたように特権が過ぎている以上、問題意識のある政権が切り込むしか、仮にそれが自らの薄っぺらい点数稼ぎのためであれ、改革の方法がないのだから仕方ない。

 日本の受信料収入の約7000億円は全世帯・事業所を対象としているドイツに次ぐ高い水準で、衛星契約の受信料額は英独仏韓などと⽐べ、最も⾼い⽔準となっている。受信料支払率は09年度には70%であったが、未契約者への民事訴訟の提起や17年の最高裁判所判決などもあり、昨年度は83%にまで向上している。

 NHKは「事実上の税金」である受信料を、取り立て業者を使い、場合によっては訴訟をチラつかせてまで、決して経済的に豊かでない視聴者からも徴収している。そこまでして得たカネの使い道が身内の特権を守ることと、貯蓄にしか回さないということであれば、「皆様のNHK」としての信頼が揺らぐことをもっと切実に考えたほうがいい。前田氏は必要以上の剰余金は受信料値下げという形で還元する仕組みを作るとのことだが、NHKは今後は1円でも多く視聴者に還元していくべきだろう。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

横浜・林市長、コロナ禍でもカジノ建設ゴリ押し…住民投票を否決、民意を無視し騙し討ちの画像2●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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