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鈴木純男「保険会社に流されない『コロナ下の保険選び』のツボ」

自動車保険、代理店系とダイレクト系はどっちがお得?ソニー損保の一歩進んだ割引制度とは

文=鈴木純男/金融ジャーナリスト
自動車保険、代理店系とダイレクト系はどっちがお得?ソニー損保の一歩進んだ割引制度とはの画像1
「gettyimages」より

 1月8日から、昨年春に続いて2回目の緊急事態宣言に入りました。前回は人も車も街からすっかり消えるなど、風景が一変しました。個人も法人も自動車で出かけることを手控えて交通量が減った結果、自動車事故が大きく減少し、自動車保険を販売する損害保険各社に、保険金の支払い減という形で思わぬ恩恵をもたらしました。

 自動車ディーラーなど販売店や代理店の営業自粛などで、自動車保険・自賠責保険の販売量が4~5月にかけて激減した結果、対面販売が中心の国内の大手損保などは収入保険料を減らしましたが、保険金の支払額の減少は利益にプラスとなって働きました。

 こうした状況下で、新型コロナの影響が業績面でよりプラスに働いたのは、インターネットなど非対面で自動車保険を販売するダイレクト系の損害保険各社です。

 現在、国内では規模の大きな順に、ソニー損害保険、チューリッヒ保険、セゾン自動車火災保険、アクサ損害保険、三井ダイレクト損害保険、イーデザイン損害保険、SBI損害保険の7社のダイレクト系損保会社が事業展開しています。この7社は、2020年第1四半期(4~6月)の収入保険料が前年同期比から増収となりました。セゾン自動車火災やSBI損保に至っては、前年同期から20%以上も伸びています。

 この間、代理店を主力の販売網とする国内損保各社(東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパンなど)は軒並み、収入保険料が前年同期からマイナスに沈みました。対面営業が自粛に入ったため、当然といえば当然です。その一方で、非接触・非対面で契約ができるダイレクト系損保を自宅で比較検討する人々が増えて、その結果として、代理店系損保からダイレクト系損保への乗り替えが進んだと見られています。

ソニー損保の一歩進んだ割引の仕組みとは

 自動車保険は生命保険とは異なり1年更新のため、毎年損保会社や商品を見直すことが可能です。20等級を最大の割引率にしたノンフリート等級制度は損保会社が変わっても引き継がれるので、見積もりや申し込みの手間さえ厭わなければ、契約を変えることは比較的容易です。

 ダイレクト系損保の自動車保険の強みはやはり、代理店系の損保と比べて安い保険料でしょう。これには異論はないと思います。車両保険に始まり、対人・対物補償、人身傷害補償など、代理店系損保とダイレクト系損保で補償内容はほとんど変わりません。補償内容が変わらないのに、なぜ保険料が高い代理店系損保の自動車保険の方が売れているのでしょうか。

 その理由としては、(1)自動車ディーラーなどで新車を購入した際に自動車保険をセットで加入する人が多いこと(多くのディーラーは代理店系の大手損保4社の代理店になっています)(2)代理店系の損保が既存の契約者の保険の更新の際に、しっかりとアプローチをして確実に契約更改をしていること、(3)ダイレクト系損保の保険料の安さやサービスの魅力に気がついていない人がいること、などがあると思います。

 昨年の緊急事態宣言下では、逆に(1)(2)が代理店系の損保にとってデメリットとなり、ダイレクト系損保に契約が流出しました。緊急事態宣言中に大手損保の自動車保険からダイレクト系損保の自動車保険に切り替えた、40代の男性Aさんはこう語ります。「外出自粛となり、テレワークが中心の勤務体系となった。それまでは車で通勤していたが、運転の機会がほとんどなくなった。それなのに高い保険料を払い続けるのはおかしい」。

 Aさんがネットでいろいろと調べたところ、ダイレクト系損保の中には走行距離に応じて保険料が変わるシステムを導入している保険があり、コロナ禍で車を運転する機会が減るのであれば、こうした保険の方が得だと考えたのです。さらに詳しく調べてみると、ソニー損保は「くりこし割引」という一歩進んだ仕組みを導入していました。これは、契約時に申告した走行距離よりも実際の走行距離が1000キロ以上少なかった場合は、その差額分の保険料が翌年の保険料から割り引かれるという保険でした。

「もしまた緊急事態宣言が発令されたら、車での通勤はできなくなる。今のうちにこうした保険に切り替えておこう」とAさんは決断し、ソニー損保の自動車保険に切り替えたのですが、まさに1月から緊急事態宣言が再発令されたことで、Aさんは賢い選択をしたかもしれません。

増えた利益を顧客に還元した損保会社はゼロ

 前述のように、緊急事態宣言の期間中は交通量が減少した結果、自動車事故が減り、損保各社の保険金支払額は減少しました。その分、各社の利益は増えたわけですが、増えた利益を顧客に還元した損保は国内では1社もありません。

 この自動車事故の減少と保険料の返金の問題は海外でも噴出しており、たとえば保険大国の米国では、アメリカ消費者連合(CFA)などの要請によって、大手損保などが保険料の返金に応じたと発表されています。

 もちろん、代理店系の自動車保険にはダイレクト系の自動車保険にはない魅力もあります。たとえば、3メガ損保(東京海上ホールディングス、MS&ADホールディングス、SOMPOホールディングス)が提供しているドライブレコーダー付き自動車保険などは、事故やあおり運転などのトラブルの際に映像で証拠が記録される上、安全運転をサポートする機能も組み込まれています。ただし、通常の保険料に加えて、追加で特約保険料を支払う必要があります。

 緊急事態宣言の再発令によって、保険料が安いダイレクト系損保への流出が再び加速する可能性もあります。その結果、現在のダイレクト系損保のマーケットシェアは保険料ベースで8%程度と近年は横ばい傾向ですが、じわじわと上昇するのではないでしょうか。

(文=鈴木純男/金融ジャーナリスト)

鈴木純男/金融ジャーナリスト

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