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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

今年、もう「自分と他人を比べる」のはやめよう…自己肯定感が低いほど人間関係を損なう

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
今年、もう「自分と他人を比べる」のはやめよう…自己肯定感が低いほど人間関係を損なうの画像1
「Getty images」より

 突然ですが、こんなことってありませんか?

・考えすぎて動けない

・対立を恐れ、主張できない

・一人で行動するのが苦手

・周りの意見に過剰反応し、挑戦できない

・あまり自分の主張ができず、周囲に合わせることが多い

・人から嫌われてはいけないと考えてしまう

・人に何かを頼むのが苦手

・人から何かを頼まれたら断れない

・すぐに謝ってしまう

・良くない結論になりそうだと予想することが多い

・人のふとした発言で、嫌われたと感じることがある

・誰かがひそひそ話をしていると、自分の悪い噂をしていると感じる

・他人と比べて落ち込むことが多い

・完璧に準備をしないと動けない

・何事にも白黒はっきりさせないと気が済まない

・一度立てた計画は絶対にやり遂げるべきと思う

・失敗したらおしまいだと思う

・浮気や不倫は絶対にいけないと思う

・私には愛される価値がないと思う

・結婚しないと幸せになれないと思う

・お金がないと結婚できないと思う

・仕事ができないと価値がないと思う

・生きづらい、窮屈な世の中だ、人生がつらいと思う

・自分には取り柄がないと思う

・よく後悔する

 もし当てはまる項目が多いとしたら、「自分は自己肯定感が低いかも?」と疑ってみる必要がありそうです。というのもこの「自己肯定感」は、人生を生き抜いていくうえで非常に重要な要素だからです。もちろん上に挙げたのは誰でも多かれ少なかれ当てはまることであり、程度問題ではありますが、「たくさん当てはまる」なら、かなりしんどい人生を歩むことになりかねません。

・自己肯定感が低いと劣等感に支配されやすく、承認欲求飢餓感が強い

 自己肯定感が低いということは、自分の価値に自信がないゆえに、他人と比較しなければ自分の評価ができないということになります。そのため、他人と比較しては優越感に浸ったり、あるいはマウンティングして「自分のほうが上だ」と確認しようとしたりします。

 そうやって自分の評価が下がらないようにするわけですが、他人に攻撃的な人や自慢話が多い人、嫌味を言う人というのも、自己肯定感が低く自分に自信がないため、虚勢を張ることで自分の本当の実力がバレないよう必死なのです。

 とはいえ、どの分野や領域でも上には上がいるものですから、妬みやそねみ、劣等感や自己嫌悪といった感情にも支配されやすいといえます。そして劣等感をこじらせると「自分には無理」と最初からしり込みするようになってしまいます。

 また、自己肯定感が低い人は、実は他者からの承認欲求が過剰に強い傾向もあります。前述の通り自分の価値観や判断軸に自信を持つことができず、他人の目を通してしか、自分の存在を確認できません。つまり自分では自分を認められないから、他人に認めてもらうことで承認欲求を満たそうとするわけです。

 こういう人にとってSNSは承認欲求を満たすには格好のツールで、「いいね」が欲しいあまり、過激な行為など社会通念上の公序良俗に反する動画や写真を掲載して炎上することがあります。他人から認めてもらえることが優先し、常識的な判断力すらマヒしてしまうのです。

自己肯定感が低いと「いい人」願望が強く、人間関係で詰みやすい

 自己肯定感が低い人は、周囲から嫌われてはいけない、万人に好かれないといけないという強固な信念を持っています。自分に自信がないため、周囲からの協力がなければやっていけないという潜在的な恐怖心があるのかもしれません。そのため、自分の意見を押し殺して他人に迎合したり、人との摩擦や軋轢を恐れ、自己主張をせず遠慮したりする傾向があります。

 あるいは、嫌われないよう気を遣い過ぎるあまり、イヤなことでも断ることができません。仕事や雑務はもちろん、気が進まない食事会や飲み会など、依頼されたり誘われたりしても、断る口実がとっさに出てこない。

「断ったら相手の気分を害するかもしれない」「付き合いの悪い人と思われるかもしれない」という不安が思考を支配し、「う、うん、いいよ」と応えてしまう。

 しかし、そうやって本心を見せないために、周囲からは逆に「何を考えているかわからない人」「周囲を警戒して寄せ付けようとしない人」と映ってしまい、むしろ逆効果になっていることに気が付きません。こうして自己肯定感が低い人は、人から好かれよう、人に嫌われまいというその発想によって、逆に人間関係を損ないやすいのです。

人は他人に嫌われないために生きているわけではない

 自分の意見をきちんと伝えると嫌われる、と感じている人は少なくありませんが、そもそも「自己主張」とは、相手を否定することでも好かれるためにすることでもありません。相手を攻撃するとか、非難するとかではなく、自分の価値観を相手に押し付けるわけでもなく、自分の考えを素直に誠実に述べることです。

「それは違うと思う」とか「自分はそうは思わない」「それはおかしい」「そんな考え方はおかしい」などと相手を批判・否定することではなく、「自分はこう思う。こうしたいと思う。それはこういう理由だから」という感じで素直に誠実に主張すれば、ネガティブに受け止められることはそう多くないはずです。

 そして、人に好かれることや嫌われないことではなく、ありのままの自分で生きることを前提に行動することです。

 仮に好かれなくても、嫌われないように自己主張することは可能です。たとえば仕事の締め切りに追われて忙しいのに「いまちょっと時間ある?」と同僚から声をかけられたとき。「今忙しいんだけど、ちょっとって、どのくらい?」とか「ちょっと今忙しいからムリ」というのはさすがに感じが悪い。

 しかし、たとえば「ゴメン、この仕事を急いで片付けちゃうから、10分後でもいい? あとで声をかけるよ」というふうに答えれば、今は断るという自分の本音を伝えつつ、嫌われるリスクは減るでしょう。

 つまり、言葉遣いや表現の工夫によって、自己主張しつつも嫌われない作法を身に付けることはできるということです。

 とはいえもちろん、自分の本音を伝えれば相手の期待通りにならないこともあるし、利害が対立することもあるから、おのずと限界はあります。ただし、相手に迎合したところで、あなたのことを「いい人だ」と思う人はほとんどいないという現実を受け入れる必要があります。

 そもそもあなたが自己主張し、それが相手の心に響いたときに初めてそれが「いいかどうか」がわかるのです。それで当然ながら、「そんな考えには賛成できない」「けしからん」と感じる人もいるかもしれない。

 しかしそれを恐れて自己主張しなければ、誰からも共感を得ることはできない。主張がなければいてもいなくても変わらない空気のような存在で、一人の味方すらできないということになります。それに他人は、単なる印象や外見だけで判断することもあるし、嫉妬や羨望で嫌うこともあるわけで、そんな他人の感情は、自分ではコントロールできません。

 つまり、相手がどう思うかは相手の問題であって、自分の問題ではない。コントロールできない相手の問題を自分の中に抱える必要などないし、そもそも無理なのですから、気にしても仕方がないと受け入れることです。

 また、自己肯定感が低い人は、言語化能力が未熟な傾向があります。自分がどういう価値観、そして行動原理で生きているかをあまり考えておらず、それが自信のなさにつながっています。特に、「なにかとモヤモヤすることが多い」という人は、自分の感情や考えを明確な言語として表現できていないからです。

 そこで、日記をつけたり自分とは異なる考えの主張をしている本を読むなどしてたくさんの主義主張を取り入れ、自分の価値観や考えを多種多様な言葉で表現できる言語力をつけることです。すると、「自分はこれこれこういう信念で生きている。その結果もこれこれこのように自己責任で受け入れることができる」と、どのような批判や雑念にも、論理的に対処できるようになります。

 自分の価値観には自分なりの正当性があることを論理的に説明できれば、それが精神的な支えとなり、確固たる自信となります。

他人との比較をやめる

 幸福や満足は、他人との勝ち負けでは決まりません。人生の中ではいろんなことが起こりますから、ある一定の時期の成功だけで人の幸福は測れない。外面の優劣よりも、本人の内面の幸福感のほうが重要で、それも人生のタイミングによって変わります。

 そう考えると、他人の内面など知りようがないわけですから、他人との比較は無意味であり、そこから生じる劣等感も、「もっとがんばろう」というプラスのエネルギーに変換できる人でない限り、人生の無駄遣いだということがわかります。

 そんなふうに、自己肯定感を高め、自信を持って生きるメンタルを養う方法論について解説したのが拙著『“自己肯定感”のスイッチが入る! 自分を受け入れる力』(青春出版社)です。ご興味があれば、ぜひ手に取っていただければと思います。

自分の考え方に固執して嫌われる

 自己肯定感が低い人は、他人からどう思われているかを必要以上に気にするあまり、相手に踏み込んで聞くことを恐れます。そのため、ちょっとでも不満なことがあったら、自分の気持ちを相手に伝えたり、なぜそのような態度を取るのかなどと聞いたりせず、自分の方から引いてしまいます。あるいは、ちょっとメールの返信がない、挨拶がぞんざいだった、軽くあしらわれた、無視された、というだけで、「ああ、この人は自分のことを嫌いなんだ」「裏切られた」と勝手に思い込み、自分から距離を置きます。

 しかし、相手は別にその人のことを嫌いなわけではなく、ただ返事を忘れただけとか、考え事をしていて挨拶がおろそかになった、忙しくて気持ちに余裕がなく不遜な態度になってしまった、たまたま気が付かなかった、というだけのことかもしれません。なのに、相手に確認しようとせず、「あの人は礼儀知らず」「あの人は怠け者」「あの人は傲慢」などと、たった1つの言動だけで、その人の全人格を決めつける傾向があります。

 自己肯定感が低い人は、相手に踏み込んで自分の本心を伝えたり、逆に相手の本心を聞こうとしないため、先入観や固定観念が非常に強固になりがちです。そして思い込んだら曲げることができません。事実を示しても、「そんなのはおかしい」と事実をねじ曲げてでも自分の考えに固執します。

 たとえば医者にかかったら薬を出してもらうべきだと考えている人は、副作用が大きいから薬は処方しないと医者に言われたら、ヤブ医者だと非難します。経済学は正しいと考えている人は、経済学では説明できない相場動向や経済状況を「経済学的にあり得ない」と事実の方に目をつむります。それでいて、たとえば「昼休みに仕事をする同僚はおかしい」などと、「そんなのどうでもいいじゃん」と思えるような、ちょっとしたことにこだわります。

 また、相手がどうすれば喜ぶかではなく、「こうすれば相手は喜ぶはず」と自分の思い込みで行動します。その典型例が「あなたのためを思って言ってるのよ」という親や親戚、先輩のセリフ。これも、自分の考えとは異なる相手が不満で、ただ自分の価値観を押し付けて本人が安心したいだけ。その理由を「あなたのため」とすり替えて言い訳をしているのです。

 これも「自己肯定感が低い人」の特徴的な行動パターンのひとつです。自己肯定感が低いがゆえに、自分の価値観の方が正しいのだと確認したい。相手を否定すれば自分が上になるという優越感を得たいのです。相手には相手の事情や都合や考え方があるということに思いが及ばず、自分の考えがすべて正しいと思いたいのです。

自己肯定感が上がる習慣 いろんな世界、いろんな生き方があっていい、と認める

 成熟した大人は、自分に寛容であり、他人にも寛容です。自我が確立すれば、自分は自分でいいんだと信じることができます。また、私たちは人に迷惑をかけながら生きているわけですから、他人のことも許すことができます。

 しかし自己肯定感が低い人は、自分に不寛容で、自分の性格が好きではありません。むしろ嫌いです。だから他者に自分の評価を求めてしまう。あるいは他人と比べて自分の方が価値が高いと確認したくなる。そして自分を嫌いな人は、他人も嫌いです。自分とは違う他人、自分の期待通りに動いてくれない他人にイライラしがちです。

 そんな彼らがネット上で不適切な写真や発言を見つけると、あるいは芸能人や政治家の不倫報道などを見ると、一斉に叩き始めます。いわゆる炎上です。そうやって彼らは自分の正義をぶつけられる対象を探しては溜飲を下げようとしています。自己肯定感が低い人はつねに不満が渦巻いていて、世の中は厳しいと感じ、人生が好転することがありません。

 さわやかな感情で生きるためにまず必要なのは、自分とは違う他者を認め、受け入れることです。人はみな不完全ですから、そんな不完全な他人を許せる自分になれば、不完全な自分も受け入れられるようになります。

 あるいは逆に、不完全な自分を認めることができれば、不完全な他人も受容できるようになります。「他人は他人でがんばって生きているんだろう。そのあり方は自分の考えるものとは違うけど、それもアリ」「そして、自分も他人とは違うけど、それなりにがんばって生きている。だからそれもアリなんだ」というイメージです。

 仮に自分の嫌いなところがあったとしても、それも含めて自分です。無理に変えようとするのではなく、そんな自分でも快適に生きられるよう、捉え方、関わり方を変える。自分を好きになろうとごまかすのではなく、ありのままでいいと受け入れるのです。

(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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