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「ネット配信も検討して」…『シン・エヴァ劇場版』公開延期に関連事業者から悲鳴続出

文=編集部
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「Getty images」より

 全世界のファンが待ち望んでいたアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(配給:東宝、東映、カラー)が新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、2度目の公開延期に追い込まれた。製作を担当するカラーが14日、同作品公式ホームページで発表した。

 同作品は昨年6月に公開を延期し、今月23日の公開を予定していた。コロナ禍で興行関連のイベントが軒並み中止になるなか、同作品は「公開すれば確実にチケットが売れる」「約束された勝利のコンテンツ」などと映画業界の期待は高かった。

 劇場関係者などからは「政府の緊急事態宣言下では、夜の営業を自粛せざるを得ない。こんな状況で封切りしたら売上に響く。英断だ」と今回の延期を評価する声も聞かれる一方、関連グッズなどを製作していた下請け企業からは「いつまでも在庫を抱えているわけにはいかない。到底、この状況が早期に終息するとは思えない。ネットでの有料配信による公開も視野に入れてほしい」との嘆きも聞かれた。

 カラーの発表は以下の通りだ。

「この度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の状況、並びに日本政府による緊急事態宣言の発出という事態を重く受け止め、慎重に検討を重ねて参りました。その結果、感染拡大の収束が最優先であると判断し、2021年1月23日(土)に向け進んでおりました、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開を自粛し、再延期を決定いたしました」

 またカラーは15日、公式YouTubeチャンネルで同作品の「本予告・改」(以下動画)をアップ。予告編の最後に「公開日検討中 共に乗り越えましょう」と記した。

劇場関係者「夜の上映も含めた完全な状態で封切りしたい」

 公開予定日まで10日を切った段階での再延期の内情を、配給の東宝の劇場関係者は次のように語る。

「東映さんと合わせて、全国で300館以上の公開を見込んでいました。昨年は『鬼滅の刃』の大ヒットが、コロナ禍にあえぐ多くの劇場を救いました。今年の目玉はやはりエヴァンゲリオンでしょう。劇場としては、緊急事態宣言の対象自治体が拡大しているような状況では公開したくないというのが本音です。その枠に別の作品を充てるのは大変ではありますが、おそらく、劇場側の意向を東宝本社の方で汲み、カラーさんと交渉してくれたのだと思います。英断です」

 東宝系列の映画館ではこれまで大規模クラスターが発生したことはないという。舞台やライブなどが軒並み中止になるなか、映画館だけは興行業界唯一の聖域となっている。中途半端な封切りをして途中で自粛要請を受けたり、クラスターが発生したりして、ブームに水を差したくない心情があるのだろう。

東京五輪と同じようにエヴァグッズの在庫が倉庫に……

 一方、映画公開に合わせて同作品の関連グッズを製造していた事業者の表情は暗い。東宝の下請けのグッズメーカー関係者は次のように話す。

「この状況で公開するのが難しいのはわかります。劇場の皆さんが完全な状況での公開を目指したいという気持ちも理解できます。しかし、まさか東京オリンピックと同じように、関連グッズの在庫を抱える羽目になるとは……。昨年は中国など海外の工場や原料供給元との流通が滞り、そのカバーに追われました。

 その後、なんとか数を揃えることができたので、公開に先立ち昨年末くらいから、少しずつではありますが在庫をカラーさんのオフィシャルショップの店頭に並べていただいたり、インターネット上で予約販売したりはしているのですが、やっぱり公開されないと爆発的な売り上げにはならないようです。それに作品のネタバレに触れてしまうようなグッズは公開まで売れないことになっています。指示された通りに製作している我々には、なにがネタバレなのかはわからないのですが……」

 昨年は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開で登場キャラクターの関連グッズが爆発的な売り上げを記録したことは記憶に新しい。同様にエヴァシリーズでも、作品に登場する「汎用人型決戦兵器」であるエヴァンゲリオンや主人公の碇シンジ、綾波レイ、式波・アスカ・ラングレー、真希波・マリ・イラストリアスら主要キャラクターをモチーフにしたさまざまな雑貨などが販売され、大きな売り上げを記録してきた。

「コロナ禍の終息が見通せない状況下で倉庫代ばかりかかってしまう状況です。このまま年単位で公開が延期になるのは厳しいです。ネットでの有料配信など、コロナ禍の時代に適した公開のあり方も検討してほしいですところですが、とにかく感染拡大の収束を願ってやみません」

 国民的人気コンテンツの公開はいつになるのか――。ファンだけではなく、作品に関わったすべての人々が封切りの日を持ち焦がれている。

(文=編集部)

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