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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

相撲力士、なぜ12人に1人がコロナ感染?肥満も原因か…今、肥満の人は痩せる努力が重要

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
相撲力士、なぜ12人に1人がコロナ感染?肥満も原因か…今、肥満の人は痩せる努力が重要の画像1
「Getty images」より

 横綱・白鵬新型コロナウイルス感染が1月5日に明らかになった。3日に嗅覚異常の症状があったため、PCR検査を受け、陽性が判明した。大相撲界での感染者数は一般人と比べ際立って多い。

2020年4月10日:勝武士(高田川部屋、三段目力士)

     25日:高田川親方ら6人の感染発表

    9月6日:玉ノ井部屋で計24人の感染判明

   12月10日:立浪部屋で計11人の感染判明

     31日:荒汐部屋で計12人の感染判明

 去年1年間で54人もの力士および部屋関係者の感染が確認されている。そして、今年早々、史上最多44度の優勝回数を誇る「日本一強い男」がコロナウイルスに感染し、力が強くても必ずしも抗病力=免疫力は強くないことを世に知らしめた。大相撲一月場所の十両・幕内力士15人がコロナ関連で休場しているのだから、事は穏やかではない。

 江戸時代の強豪力士、2代目谷風梶之助は、通算成績(勝率)が大相撲史上最高の「258勝14敗」で昭和の名横綱双葉山の「69連勝」に次ぐ「63連勝」(白鵬の連勝記録も同じ)の記録を残している。ほかの力士には「俺に勝つのは無理だから、俺に勝つには俺が風邪をひいたときに来い」と豪語していたという。ところが谷風はインフルエンザ(コロナウイルスと同じウイルス疾患=流行性感冒)と考えられる風邪にかかって亡くなった。当時の人々はそれを「谷風邪」と呼んで恐れたという。

肥満者の割合が低い日本人

 昨年4月から今年の白鵬の感染までの力士の感染者数は約50人にもおよび、幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序の口、までの全力士数約600人の約12分の1が感染したことになる。つまり、一般人の感染率からすると格段に多い。

 その原因は、食べすぎによる「肥満」といってよいだろう。昭和30年代(1955~1964年)頃の力士の平均体重は「112~115kg」くらい、今の力士たちのそれは「165kg」(平均身長185cm)と、巨大化・肥満化している。早朝から猛稽古を3~4時間して、食事も昼・夕の2食ではあるが、1回の食事の量が多すぎるのである。

 肥満指数(Body Mass Index=BMI)は、

・体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

で表される。日本人の標準的な男性の身長・体重は「170cm、70kg」というから、

・BMI=70÷1.7÷1.7=24

である。BNI=30以上が「肥満」と定義されている。各国のBMI=30以上の肥満者の割合は、

・米国:37%

・英国:30%

・イタリア:23%

と欧米人は肥満者がずいぶん多いが、日本=4.4%と極端に少ない。この事実こそ、欧米人に比べ日本人のコロナ感染症の罹患率、死亡率が2桁も低い理由であろう。

 漢方医学では2000年も前から「万物一元、血液の流れから生ず」と喝破している。血液の成分など皆目わかっていなかった時代にそう推測していたのである。血液の成分をほぼ完全に解明している現代医学的に「血液の汚れ」を解析すると、「血液中にコレステロール、中性脂肪、糖などの栄養物、尿酸、乳酸、クレアチニン、尿素窒素などの老廃物が過剰になっている」状態である。

 ばい菌(細菌)・ウイルス、真菌などの「病原菌」は小川のせせらぎやコバルトブルーの海のなかにはほとんど存在しない。ドブ川、肥溜め、ゴミ溜め、動物の死骸の中などに存在し、増殖して、そうした不要物(老廃物)、余剰物を分解して土に戻す働きをしている。

 よって、ばい菌やウイルスが体内に侵入してくるのは「血液が汚れている」証左である。肥満すると、血液内に中性脂肪やコレステロール、血糖、尿酸などが増えてくる。つまり、高脂血症、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)を惹起してくる。

 こうした栄養物、老廃物は細菌やウイルスの好餌になるのである。勝武士は闘病の後、2020年5月13日に28歳の若さで亡くなった。力士としては超小柄の「166cm、108kg」であったが、肥満指数は「39」にもなる。昨年暮れ(12月27日)に逝去された参議院議員で元国土交通大臣の羽田雄一郎氏は高脂血症、糖尿病、高血圧の危険因子を3つも持っておられた。

 コロナに感染し、一時は生命も危ぶまれたという、イギリスのジョンソン首相の体重は罹患時110kg。イギリスで「コロナでICUに入院している患者の70%以上が肥満者だ」との発表があったからか、今はずいぶんスリムになられた。

 今月7日には東京、千葉、神奈川、埼玉で再度、緊急事態宣言が発表された。「3密」を避け、マスクをして手洗いなどの消毒をすることも大切ではあるが、それより大切なことはウイルスに接触しても感染をさせない自然免疫(こちらについては前回記事で詳細)を強くすることが大切である。

6カ月で33kgの減量

 それには肥満の人はまず適正体重に戻す努力をする必要がある。私のクリニックを訪れた170cm、133kgの超肥満の人に、私が40年来提唱している「石原式基本食」を勧めたところ、「6カ月で33kgの減量」に成功した。その基本食とは、以下のとおりである。

・朝食:生姜紅茶(熱い紅茶にすりおろし生姜または粉末生姜と黒糖をうまいと感じる量を入れる)2杯か、ニンジンリンゴジュース2杯

(※奈良県立医大の矢野寿一教授がつい最近、紅茶の中にコロナウイルスを不活性化する成分があると発表)

・昼食:そば(飽きたらうどん、ピザ、パスタなど)

・夕食:アルコールを含め好きなものを飲食可(この人は中小企業の社長なのでほぼ毎晩酒食を伴う宴会)

「33kg減量」したところ、2~3カ月の血糖の状態を表す「HbA1c」(6.2まで正常)が「10.2」とインスリン注射が必要なほどの高度の糖尿病だったのが「5.5」と正常化。総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪は低下し、HDL(善玉)コレステロールは増加した。

 また、脂肪肝でAST(GOT)=100(正常35以内)であったのが「30」に低下した。減量すると、いろいろと良いことが起こるのである。

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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